■店内ではホストがテキーラを次々注文し……

警視総監も視察、歌舞伎町“悪質”ホストクラブ「無許可貸金業」実態を被害者弁護士が“断罪”!「脅迫罪」「名誉棄損」も浮上!!

「友人と一緒にホストクラブに行ったのがすべての始まりでした」

 そう語るのは、すらりとしたモデル体型が一際目を引く現役女子大生のX子さん(21)である。

取材に応じたX子さん

 連日メディアでも取り上げられる悪質ホストクラブ問題。女性客に店内でツケ払い(売掛金)の形で酒を飲ませ、客がカネを払えなければ売春行為や風俗店勤務を斡旋してまでカネを作らせる。

「警視庁が12月20日に発表したところによれば、新宿・歌舞伎町近くの大久保公園にて売春目的で立ちんぼをして売春防止法違反で現行犯逮捕された女性は、2023年の1年間だけで140人。そのうち20代が106人。10代も3人いました。逮捕者の3割強である44人が売春の目的を“ホストクラブで使うお金を稼ぐため”と述べています」(全国紙社会部記者)

 警視庁が12月に歌舞伎町にあるホストクラブ176店に対して行なった立ち入り調査でも、132店でボトルやシャンパンタワーの料金が記載されていないといった料金表示義務違反が確認された。

 捜査機関の手によっても露わになったのは、ホストクラブによる悪質実態。12月22日には、東京都の安全を守る警視庁のトップである警視総監も直々に歌舞伎町を視察に訪れた。

 そんな魔城の一つである「Y」というホストクラブに、X子さんが足を踏み入れたのは22年12月のことだった。Yの料金システムは、サービス料と消費税が含まれたセット料金が18000円。それとは別に店内でドリンクを注文すれば、ドリンク代には35%のサービス料や10%の消費税が加算される。X子さんがYで指名していたのはAという”売上1億円”の肩書を引っ提げたホストだ。

「当時は、別のホストに入れ込んでいて、その本命ホストとの関係が上手くいっていない時に、Aに会うためにYへ行くという形でした。Aとしても私に本命ホストがいるのをわかっているので高額のボトルを煽ってくるようなことまではしないんです。ただ、こちらが予算を伝えても毎回お会計を頼むと伝票に記載された額は予算をオーバーしていました」(前出のX子さん)

 X子さんが「今日は10万円しか現金がないから10万円まで」と伝えても、伝票が手元に届く時には会計額が20万円や25万円になっていることもざらだったという。手持ちの現金が足りない場合は、次回来店時に不足分をツケ払いで支払う形をとっていた。

「指名しているホストではなく、ヘルプで卓につく子が“これ、伝票に反映させないから”とショットのテキーラを勝手に頼むこともありました。テキーラを飲むと酩酊状態になりますし、こちらも何を頼んだのかもわからなくなるんです」(前同)

■シャンパンを断るとホストの態度は一変、突如無言に

 来店するたびに雪だるま式に増えていく店での売掛金。このままではホスト・Aとの関係が切れないと考えたX子さんは、売掛金だけでも返そうと店へと出向く。

「それでも“1杯だけ飲んでいこうよ”と誘われると断れなくて。そのまま店でAと話しているうちに、お会計が10万、20万となってしまい新たな売掛金ができてしまうんです」(前出のX子さん)

 X子さんがAのいる店「Y」に足繁く通っていたのは23年の5月ごろまで。なぜ、不明瞭な会計や高額請求を繰り返すホストクラブへと出入りを繰り返していたのか。

「寂しいという気持ちもあったと思います。自分が入れ込んでいた本命ホストとの関係が上手くいっていない時に話を聞いてほしいとか、優しくして欲しいと思い会っていました。Aと会って3回目にはシャンパンも入れましたよ」(前同)

 すると、Aからある提案がもたらされる。

「お店終わりに会おうと言われて、ホテルの1室で待ちました。そこで関係を持ってからは、離れられなくなってしまいましたね」(同)

 それでも、自分が入れ込む本命ホストとの関係をより親密なものにしたいと考えたX子さんは、Aのいる「Y」に通うのを23年5月に一時的に止めることになる。ただし、本命ホストとの関係が上手くいかなくなった同年11月には、X子の足は自然と「Y」へと向いていた。

「その日も“10万円まで”と予算を伝えていたんです。そしたら、Aが“X子なら大丈夫でしょう”って“シャンパンを入れてよ”って頼んでくる。こちらもお金がないので断ったら急に無言になって、Aはスマホを触り始めたんです」(同)

 豹変した態度を恐いと感じたX子さんはAに言われるがままに、店のオリジナルシャンパンを注文してしまう。その日の会計額は予算の5倍に当たる50万円となっていた。その日、10万円しか現金を持っていなかったX子には40万円もの売掛金が発生したわけである。