■“加工された情報”に疲れた先に流行するもの

 SNSが普及する一方で、「いいね」を集めたり、他人と比較して自身の優位を煽ったりする投稿に疲弊する人たちが増えている状況において、『BeReal』は“盛れない”リアルさが安心感につながり、またゲーム性を兼ね備えていることで、日本の若者の間でも流行しているのだ。

「いつの時代も、若者がいちばん感度が早く、新しいサービスにも飛びつくものなんです。そしてそれがトレンドとして、まず同世代の間に浸透する。次に、上の世代が“それって何?”と注目し、取り入れていくという構造があります。

『BeReal』の“盛らない・盛れない”ことが若者の支持を得ていることを考えると次に流行りそうなのは、『BeautyCam iPhoneモード』。こちらはアプリ・WEB部門のランキングで5位にランクインしていますが、『BeReal』と同じく“ナチュラルさ”が売り。

『BeautyCam iPhoneモード』は加工アプリでありながら、iPhoneのノーマルカメラふうに撮影できるという機能。ポイントは、加工に見えない加工という点です。加工し過ぎるのはちょっと恥ずかしいけどキレイには見せたい、という上の世代が注目する可能性は高いと思います」(前出の原田氏)

 原田氏は、“映え”に端を発する「加工された情報」に疲れる時代が到来しており、今後はコミュニケーションのユニークさに注目が集まるのではないかと見る。

※画像は「サイバーエージェント次世代生活研究所」のプレスリリースより

 

「23年は、店員がタメ口で話す『友達がやってるカフェ』や、日常に潜む“いい人“のエピソードを集めた展示『いい人すぎるよ展』、接客態度の悪さをエンタメ化したレストラン『the LAZY HOUSE』など、人と人のコミュニケーションに焦点を当てたスポットやイベントが若者の間で話題となりました。

 単にオシャレさを売りにしたものは、もうSNSで見飽きているんですよね。しかも、加工で“高級”とか“上質”っぽさはいくらでも操作できることもみんながわかってきた。そうした時に、同じ飲食店でも実際に足を運ばないと体験できないコミュニケーションに付加価値を持たせる流れは続くのではと。そしてこの流れは、上の世代にも広まっていくと思います」(前同)

※画像は「the LAZY HOUSE」の公式インスタグラム『@the.lazy.house』より