■「上の世代」意識の変化も後押し

 また原田氏は、若者から上の世代へとトレンドが浸透する流れについて「バブル世代以降の世代が“対象年齢”に縛られなくなった」という世代の変遷を指摘する。

「今、50代半ばぐらいの“バブル世代”は元々ミーハーで新しいものが大好き。トレンドを受け入れる能力も高く、若々しいですよね。

 たとえば、漫画やアニメ。昔は社会人で少年漫画を読んでいたりすると、その上の世代が“いい年した大人が子どもの読む漫画なんか読んで……”と否定気味に見ていたものですが、現代の“上の世代”にそうした分断意識はない。軽やかなスタンスで、漫画やアニメのほか、カラオケでも子どもたちと一緒に楽しんじゃおう、という考え方になっている。

 ただ、前述のとおり、流行を取り入れるまでの間には若年層とそれ以上で“時差”がある。2024年は、これまで“映え疲れ”した若者の間で話題だったようなアプリやサービスから、より幅広い世代に浸透していくものが出てくると思います」(前出の原田氏)

 24年は、14年2月にインスタグラム日本語版が開設されてから10周年。“盛り”や“映え“を意識することが当たり前だったSNS時代が、転換期を迎えている。

原田曜平
慶應義塾大学商学部卒業後、広告業界で各種マーケティング業務を経験し、2022年4月より芝浦工業大学・教授に就任。専門は日本や世界の若者の消費・メディア行動研究及びマーケティング全般。
2013年「さとり世代」、2014年「マイルドヤンキー」、2021年「Z世代」がユーキャン新語・流行語大賞にノミネート。「伊達マスク」という言葉の生みの親でもあり、様々な流行語を作り出している。主な著書に「寡欲都市TOKYO 若者の地方移住と新しい地方創生(角川新書)」「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?(光文社新書)」など。