■歴史的な年となりそうなアイドルグループ界

 また、ダンスボーカルグループとしては男性グループも女性グループも、今年は新しい歴史を刻みそうだ。

「女性では、オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』(通称「日プ女子」)から誕生したME:I(ミーアイ)。23年12月16日にデビューメンバー11人が決定し、24年4月17日のデビューが決まっています。

※画像は「ME:I」の公式X(旧ツイッター)『@official__ME_I_』より

 ME:Iが結成される以前の段階で『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』の出演者からは、ファイナル対決に使われた3曲や番組テーマ曲、課題曲などが配信。サブスクでの順位が急上昇しました。

 日本では楽曲リリース直後からサブスクで上位に進出するのは、実は多くはない印象です。これまで『PRODUCE 101 JAPAN』から誕生した11人組の男性グループ・JO1INIはデジタル配信よりもCDの売り上げが強かったと感じていますが、今回の流れはオーディション番組を通じて20年6月に結成され、デビュー前にレコーディングされたデジタルミニアルバム『Make you happy』が注目を浴びた9人組ガールズグループ・NiziUを思わせます。

 仮にME:Iがデジタル配信で強さを発揮し続けるならば、日本の音楽市場に未だ多い”CD売上優先”という考え方が変わるかもしれません」(前出のKei氏)

 デジタル配信といえば、旧ジャニーズ事務所はかたくなに“デジタル解禁”をしてこなかった。今後新たに、所属タレントたちのマネジメントを行なうSTARTOENTERTAINMENTは、新しく挑戦することとして“独自の配信サービス”の立ち上げを掲げているが――。

「幅広くファンを獲得するためには、“独自”ではないほうがいいとは思います。

 ただ、1月10日公開分のビルボードジャパン総合ソングチャート“JAPAN Hot 100”は、元King&Princeのメンバー3名が新たに結成したNumber_iのデビュー配信シングル『GOAT』が制しました。

 ダウンロード数は6万4321DLで2位のAdo(21)が歌う『唱』の約3.8倍、23年度以降最大のダウンロード数です。CDをリリースしない状況での快進撃は、旧ジャニーズ事務所側のデジタルへの意識を前向きに変えるきっかけになるかもしれません」(前同)

 デジタルシフトが進む音楽業界。24年末の『紅白歌合戦』を彩ることになるのは、YouTubeやTikTokを活用し、認知度を上げるデジタルネイティブ世代の歌手なのかもしれない。

●Kei
青森県津軽地方在住の音楽チャートアナライザー。ブログ『イマオト -今の音楽を追うブログ-』を毎日更新中。『音楽ナタリー』『TOKION』『uDiscovermusic日本版』『Impress Watch』『NumberWeb』等へ寄稿している。