「氷山の一角も一角、全国的に起こっている事象でしょうね」
ため息まじりにそう語るのは、尾木ママの名前で活躍する教育評論家で法政大学名誉教授の尾木直樹氏だ。教育者として長年、活躍する尾木ママもあきれる事件が報じられたのは1月11日のことだった。
「東京都の武蔵野市内にある市立小学校で、2023年12月に高学年男子児童が女子児童の着替えを盗撮していたことが発覚。学習用のタブレット端末として市内の小学校12校、中学校6校に通う生徒に配布されたものが盗撮行為に悪用されていたのです。
学校側から相談を受け、警視庁も調査に乗り出しています。現在、盗撮写真の学外への流出は確認されていませんが、盗撮行為は複数回に及んでいることから、性的目的での盗撮行為だった可能性も含めて調査されているようです」(全国紙社会部記者)
盗撮画像は、男子児童の間でアプリを使って共有されていたという。事件が起きた学校がある武蔵野市の教育委員会担当者に話を聞くと、
「21年度の1学期から市内の小中学生にacer社製のタブレット端末を配布しております。対象となるのは小学校1年生から中学校3年生まで。調べ学習やドリル教材の配布、クラスでの意見共有を行なうために使用しています。
地域に通う小・中学生の多くは、タブレット端末を適切な形で使用しておりました。一部の学生による誤った使用が見つかりましたが、即座にタブレット端末の使用を中止しようとは考えておりません。現在、子どもたちは心を新たに学習に取り組んでおりますので事件に関する詳細はお答えできません」
とのことだった。
19年に文部科学省が打ち出し、児童・生徒に1人1台の端末配備などを進める“GIGAスクール構想”。これにより現在、教育現場ではタブレット端末が無償で配られている。タブレット端末の配布に端を発した今回の事件。
タブレットにはカメラ機能が付いており、それを使いたくなる気持ちはとても理解できるが、やはり着替えの盗撮となれば話が違う。教育現場におけるタブレット端末の使用方法の指導を行なう『情報モラル教育』を各校行なってはいるが、それだけでは今回のような不祥事を防ぐのに十分ではない、と尾木ママは指摘するのだ。