■イケメンダンディ俳優たちの地味演技の驚くべき効果

 また、《ほとんどのイケメン勢が脱脂されて、イケメン要素が殺されている。玉山さんにいたっては、三度見するまで玉山鉄二と判別できないほどのオジサン仕上がり。宮沢さんすら田舎の青年で、その辺にいます仕様。衣装メイクさんの仕事っぷりと、役者さんの演技がすごいんだわ》など、玉山や宮沢氷魚(29)らイケメンの変貌っぷりも好評だった。

 豪華キャストが大量投入された『VIVANT』、同枠常連の鈴木亮平(40)主演で実話をベースにした『下剋上球児』と、最近の日曜劇場の話題作に比べると、本作は地味な印象だ。それでも、今期の民放連ドラで視聴率トップの数字を出しているのは、視聴者の指摘にもあるように、うまくイケメン要素を封印したからだろう。

「西島の見事なダメ父ぶり。玉山の一見、彼とは気づかないほどの色気を封印した地味メガネ。宮沢の純朴田舎青年ぶり。ズラリとそろったイケメンたちが、見事に冴えない男を演じきっていました。

 そのおかげで物語に奥行きが生まれているんです。落差、メリハリがあるからこそ、迷走するオーケストラの団員たちが、西島のアドバイスで音を輝かせ始めたときに感動が生まれます。玉山や宮沢がキラキライケメンぶりを発揮していては、到底無理だったでしょう」(ドラマライター/ヤマカワ)

 今回のラストで、古谷(玉山)が志帆(石田)と不倫をしているかのようなシーンがあり、視聴者を大いに驚かせたが、それも玉山の地味演技があってこそ。イケメンたちが“いぶし銀”のような輝きを見せる、『さよならマエストロ』の今後に期待したい。