■令和の『大奥』はクセになる

 その一方で、《イジメのレベルが幼稚過ぎるな。ベタベタな少女漫画展開とはいえ、2003年の菅野美穂版だってもう少し品があった》《今回の大奥は話し言葉にまったく時代劇感がない》《衣装含め、なんかちょっと安っぽいような…演者さん達も頑張ってるけど、軽い感じがする》など、前作と比較しての不満の声もあった。

「スペシャル版を別にすれば、前回の連ドラ『大奥』は約20年前。脚本や演出など、いろいろ変わっているのは当然です。今は配信などドラマコンテンツが増えていますが、リアルタイム視聴する地上波ドラマは、分かりにくかったり、取っつきにくいものは嫌われてしまいます。そのため、現代風の話し方や、ヤリすぎに見えるイジメを採用したのかもしれません。

 演出は前回と変わって、テレビ朝日系の人気シリーズ『相棒』や『科捜研の女』などを手掛けてきた、兼崎涼介氏が担当しており、本作でも、複雑に絡むそれぞれの思惑を、分かりやすく見せていました。さすがの手腕といえるでしょう。その兼崎演出の“分かりやすさ”が、今回の順調なスタートにつながったと考えられます」(ドラマライター/ヤマカワ)

 本作はエンタメに徹しているため、じっくり見る配信では、あまり数字が伸びないかもしれない。ただ、分かりやすさを優先した、けれん味たっぷりな描写はクセになる。SNSでツッコみながら見る、リアルタイム視聴で人気になりそうだ。

 そのため、世帯視聴率に限っては『silent』を超える可能性もある。かつての『大奥』のような大ヒット作になるか注目したい。