■『3年A組』とは違う良さ

 まだ初回だが、正直、『3年A組』に比べると浅く感じるのは否めない。スクールカウンセラーが校内で違法薬物の原材料となる植物を栽培し、生徒をクスリ漬けにしていたという展開で、悪役のイジメ集団の描き方など、悪い意味で漫画っぽい。これが、熱心なドラマファンに物足りなく感じさせるかもしれない。

 ただ、評価すべき面もあった。それは「わかりやすさ」で、第1話ですでに主要キャラの性格、物語の骨格を、テンポの良い描写でしっかり見せきっていた。アクションも多用されていて、うまく物語のヤマを作っている。これは、脚本の武藤氏が、子どもを対象にした同局の仮面ライダーシリーズ、17年放送『仮面ライダービルド』を手掛けていたことも大きいだろう。

 さらに、落ちこぼれ高校生の動画集団「マルス」のメンバーとして登場する、泉澤祐希(30)や吉川愛(24)のような経験豊かな若手俳優が脇を固め、ツボを抑えた演技で「わかりやすさ」を増している。

 今のところは薄味な『3年A組』といったところだが、わかりやすさは新しい視聴者に対して強力な武器になる。物語の中盤を過ぎる頃には、多くの支持を集めているかもしれない。(ドラマライター/ヤマカワ)