■“2つの常識”崩壊で女子アナが続々と退社へ
相次ぐ女性アナウンサーの退社――。民放キー局関係者はこう話す。
「もちろん、それぞれ結婚されたなど個別の理由はありますが、これまでテレビ界にあった“2つの常識”が崩壊しつつあることが大きいでしょう。1つは、もはや民放のテレビ局に勤めることがステータスではなくなっているということ。
今では他の企業と比べて給料もそれほど高くはありませんし、各局、視聴率は取れなくなってきていて、特にテレビ事業が絶不調のフジテレビに至っては昨年の冬のボーナスが前年と比べて半減したほどですからね。そして女子アナに限らず、アナウンサーはなかなか残業代がつく仕事ではない。さらに、予算がある番組に所属しているわけではないので経費もほぼ使えません。ですので、他の部署の同期よりも給料が安い、というのも辞める要因としてはあるでしょうね。
加えて、アナウンサーという職業の変化ですよね。今、アナウンサーはAIで代用できる時代になっているという事情もあります」
NHKのニュース番組ではすでに音声合成技術「AIアナウンス」が活用されている。この技術は記者の作成した原稿を、自然に聞こえるようにアクセントや間の位置を調整するAIの「言語処理」、そして人工の声が読み上げるAIの「音声生成」を組み合わせたものだ。
「民放でも“AIアナウンス”の導入がより進めば、もうニュース原稿を読むだけのアナウンサーはいらなくなってきます。そうなれば今後、アナウンサーに必要になってくるのはタレント性。ただ、タレント性があるのであればフリーになったほうがいいですよね」(前同)
3月末をもって日テレを退社する藤井貴彦アナ(52)が良い例だろう。「命より大切な食事会、パーティはございません」「感染者数に一喜一憂しないでください。この数字は2週間前の結果です。私たちは2週間後の未来は変えることができます」といったコロナ禍での彼の言葉は視聴者から絶大な支持を集めた。