「歩いていたら、警察官から職質(職務質問)された」――。犯罪を未然に防ぐことを目的とした「職質」だが、何もやましいことはないのに、職質されるなんて……という経験がある人も、案外少なくはないだろう。

 2月6日には、学校を舞台に活動するスクールアイドルの様子を描いた人気アニメ『ラブライブ!』の舞台である、結ヶ丘女子高等学校の名前が書かれたスクールバッグふうのカバンを持って歩いていたというX(旧ツイッター)ユーザーが、職質されたことを報告。

 警察官には“盗んだ”ものだと勘違いされたようで、その顛末を茶目っ気たっぷりに投稿したポストには《ドンマイw》《そらそうなるわな…》との返信が相次ぎ、670万ビューとネット民の耳目を集めた。

 おまわりさんから声をかけられると緊張するものだが、そもそも警察官が職質をするポイントは何なのか。どこを見ているのか。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏に聞いた。

「見るポイントを端的に言うと、その人がその場に”馴染んで”いるかどうかですね。時間的な観点、場所的な観点などのほか、キョロキョロしていて目的を持って歩いているわけではないような振る舞いも見ています」(小川氏)

”馴染んで”いるかどうかを見抜くのは、現場での経験数。いわば刑事の勘に尽きるという。過去には、”スーツ姿が似合っていなかった”という理由で警察官が不審に思い、職質したところ、振込詐欺の受け子や詐欺グループの一味だったというケースが報じられたこともある。

「また、職質に“失敗”はないんです。空振りだとしても、警官にペナルティがあるわけではありません。むしろ圧倒的に何事もないことのほうが多いものです。だから、少しでも”ん? 何だ?”と思ったら、迷わずに声をかけろと警察学校でも、その後に配属された現場訓練でも習います」(前同)