安さと速さを競うファストフードチェーン。一歩でも競合他社を出し抜こうと店舗間での安売り合戦は絶えることがない時代が続いた。そうしたなか、2023年に2度の値上げを実施したにもかかわらず、過去最高収益を記録したのはマクドナルドだ。全国紙経済部記者が語る。

「マクドナルドは昨年1月と7月に原材料費の高騰や人件費の上昇を理由に値上げを実行。看板商品でもあるビッグマックは410円(税込・以下同)だったのが450円にまで価格が上がりました。

 今年1月、多くの来店者数が見込めるとして都心店ではさらに値上げ。価格を上げたことで東名阪の中心部にある都心店のビッグマックは現在、530円で販売されています。そのため、値上げを嫌った人が来店しなくなり売上高が激減するかと思われたのですが、蓋を開ければ結果は真逆。客数は前年に比べて1.5%減ったものの、客単価は8.5%も上昇。全店売上高も22年より602億円多い7777億円と23年は過去最高を記録したのです」

都心では530円で売られるビッグマック 撮影/編集部

 マクドナルドといえば日韓ワールドカップが行なわれた02年にはハンバーガーを59円で販売し、安さが売りであるファストフードチェーンの代名詞的な見方もされてきた。

 だが、ハンバーガーチェーンはモスバーガーやバーガーキングを筆頭に街中に数多、軒を連ねる。安さが大きな売りであるマクドナルドが値上げともなれば客数も減少し、売り上げが激減してもおかしくはないと考えられてきた。それなのに、なぜマクドナルドは23年、過去最高の売上高を記録できたのか。

 小売・サービス業界に詳しい経営コンサルタントの岩崎剛幸氏は「マクドナルドの売り上げが伸びた理由は3つある」と解説する。