■マクドナルド躍進の3つの理由

 マクドナルドの売り上げが伸びた「3つの理由」――。

「1点目は商品戦略。他のハンバーガーチェーンがハンバーガー一本足打法なのに比べて、マクドナルドは朝マックやマックカフェに代表されるように時間帯別の商品展開が巧みです。マックカフェではカフェラテに限らずマカロンなども販売しメニューも豊富。夜の時間帯ですとパテの量が倍になった夜マックも行なっておりお腹も膨れやすい。時間帯別に来店するお客さんにあわせた商品展開を積極的に行なっていることで消費者の裾野も広がります」(前出の岩崎氏)

 2点目の理由は「都心店の価格アップ」だと岩崎氏は指摘する。

「マクドナルドは、人の流れが多い東名阪の都心部や準都心部での価格を地方店よりさらに上げている。2900店舗の内、およそ7%の200店舗ほどが都心店や準都心店に該当します。これらの店舗は他店に比べて30円〜90円ほど価格が高い。利用者が多い都心店の客単価が増えれば、売上高は上がります」(前同)

 岩崎氏が3点目のポイントと述べるのは「販売チャネルの多様性」だ。

「マクドナルドはイートイン、テイクアウト、デリバリー、ドライブスルーの4つの販売チャネルがある。ここまで多岐にわたる販売網を全国各地で持つのはマクドナルドだけです。一般的にファミレスは利用者の店内飲食比率が9割ほど。

 マクドナルドは来店客の店内利用比率が3割にも満たない。店内での飲食だけを目的としたお客さん以外もつかんでいるのが、マクドナルドの強みなのです」(同)

 また、マクドナルドの謳い文句「スマイル0円」も売り上げアップに大幅に貢献していると岩崎氏は話す。

「従業員やアルバイトにオンライン教育を導入することで、全店舗で来店客に同一品質のサービスを提供することを実現しています。マクドナルドにはハンバーガー大学と呼ばれる、ハンバーガーの作り方を教える研修施設があるのですが、コロナ禍を経てオンライン受講も可能になっている。オンラインを使った従業員教育の充実により、サービスの質や効率性を高めているのです」(同)