日本の首都に位置し、政財官と様々な分野に多士済々な人材を輩出する東京大学。その大学が創立150周年を迎える2027年の秋、文理融合型で5年制となる新課程「カレッジ・オブ・デザイン」を開設することが明らかになった。

 気候変動や脱炭素化、生物多様性などといった地球規模の課題に向き合い、解決策を導くグローバル人材の育成を主眼に置くという新課程。課程の名称である「カレッジ・オブ・デザイン」には、社会変革につながる“多様なデザイン”を学ぶ場との意味が込められているという。

「学士課程4年、修士課程1年のイメージで、卒業すれば修士号を取得できます。定員は1学年100人程度で、半数は留学生を想定しているとのこと。

 世界中から学生を集めることを考慮し、欧米の大学では主流の秋入学、授業はすべて英語。多様な人材を集めるために選抜方法も従来の東大入試とは異なるスタイルが検討されています。

 学ぶテーマは学生自身が決め、必要に応じて学部や院などの垣根を超えて授業を受講できるシステム。さらに学生生活のなかで、1年間は留学やインターンシップなど、東大の外で学ぶ経験も必須になるようです」(民放キー局記者)

 そんな、日本では国立大学の頂点に君臨する東大だが、イギリスの教育情報誌「Times Higher Education」が発表した「世界の大学ランキング2024」では、108の国・地域にある1904の大学のうち、29位という微妙とも言えそうな結果。

※画像は「東京大学新聞|東大新聞オンライン」の公式X(旧ツイッター)『@UTNP』より

 上位10校は8年連続となるオックスフォード大学をトップに英米の大学が独占。アジア勢では東大より上に中国の清華大学(12位)、北京大学(14位)、シンガポール国立大学(19位)の3校がランクインしている。

「ランキングでは、”教育””研究環境””研究水準””国際性””産業界”の5つの領域から独自にスコアを算出。東大は”産業界(100.0点)””研究環境(94.2点)””教育(93.9点)”という3つの領域では高評価をマークしましたが、”研究水準(67.8点)”と”国際性(49.7点)”は上位50校中最下位という結果に。前回より順位を10位上げたとはいえ、まだまだ世界トップ水準からは遠い印象です」(前同)

 日本ではトップでも世界の大学の中ではいま一つとの評価を下されてしまった東大。新課程を設ける意味と意義は何か。

 労働社会学が専門で、千葉商科大学国際教養学部で教鞭をとる常見陽平氏は、「東大の新課程設立は日本の危機感が表れている」と指摘する。

※画像は「Times Higher Education」の公式X『@timeshighered』より