■東工大と東京医科歯科大の統合――日本の大学教育の転換期

 東京工業大学と東京医科歯科大学の両大学は統合にあたり、地球環境の悪化や感染症、少子・高齢化などを例に挙げながら、「人類の直面する課題の解決に向けて、大学はその知を結集し、より大きな役割を果たすことが社会から期待されている」とコメント。

「拡大した資源を高次に融合・活用して、学生・教職員の育成環境ならびに教育研究環境を飛躍的に充実」させていくと発表している。

※画像は東京工業大学の公式X『@tokyotech_jp』より

 常見氏が続ける。

「東工大と医科歯科大の統合しかり、東大の新課程設立しかり、大学教育がチャレンジをすること、変化をすることは大切です。またこれまでの受験の枠組みで測定できていなかった学生の能力に目を向けることは大事だと思います。

 ただ、本当に重要なのは、大学での学びがその学生にとっても、社会にとっても“機能”し、豊かな社会につながること。入学する学生はもちろん、教育界、産業界も学生の育て方が問われているのだと思います」

 日本の大学教育が今、転換期を迎えようとしている。

常見陽平
リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師。2020年より准教授。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。