■経営のプロがワークマンの狙いを分析

 数多の子ども服店が街中に軒を連ねる中、ワークマンが子ども服分野に商機を見出し、30アイテムほどの商品を全国展開することを決断した理由はなんなのだろうか。

「機能性が高くて、安価な商品というのがワークマンの最大の売りです。子ども服も使用する生地素材は大人用と一緒。同じ素材で大人用とはサイズを変えて製造するだけですので、コストもかからない。安価でここまで高機能な子ども服を作れるのは同社だけでは、という自負はあります」(前出のワークマン広報部の伊藤さん)

 23年に行なった子ども服の試験販売での売上高は10億円。その中でも、来店客から好評を博したのは、ランドセルを背負ったまま着用ができる2900円(税込・以下同)のバッグインジュニアレインジャケットだという。

バッグインジュニアレインジャケット ※画像提供ワークマン

 なかなか低価格では見つからない子ども用のレインウエアが、安価で購入できるとあって人気を集めたというこちらの商品。人気の理由は機能性の高さだという。

「防水、撥水機能がある商品は大人気。子どもは食べこぼしも多いですし、道端で転んだり、Tシャツで手を拭いたりと服を汚しがち。耐久撥水水陸両用半袖Tシャツジュニア(980円)もレインジャケット同様、試験販売期間に高い支持を集めました。防水、撥水機能があって低価格で買い替えをためらわないで済む商品はお母さんの強い味方なんです」(前同)

耐久撥水水陸両用半袖Tシャツジュニア ※画像提供ワークマン

 経営のプロはワークマンの子ども服事業進出をどう見るのか。小売・サービス業界に詳しい経営コンサルタントの岩崎剛幸氏に話を聞くと、

「利益率のダウンが子ども服事業への進出に影響しているのでは」

 と指摘する。ワークマンが2月14日にHP上で公表した四半期報告書を見ると、売上高は前年同期比よりも132億5900万円高い1698億5600万円。一方、本業である衣類販売での利益を示す営業利益は、前年同期比よりも26億9600万円低い241億600万円となっているのだ。

「リニューアル店舗や新規店など直営店での売り上げは好調ですが、フランチャイズ展開している既存店の売り上げが伸び悩んでいます。そんな中、19年に日常服の取り扱いを開始して以降、ワークマンのメイン客層になっているのは40代の子育て世代のお母さまたち。彼女たちに買ってもらえる商品は何かと考えた時に、ワークマンは子ども服事業への進出を決断したのではないでしょうか」(前同)