日々、進化を続けるソーシャル・ネットワーキング・サービス、SNS。現代社会において、もはや、なくてはならないものと考えられているが、同時にそれは多くの人々に良からぬ影響を与えていると考えられる部分もあるようだ。

 最先端の流行や芸能人の日常が垣間見えると人気のSNS。『ユーキャン新語・流行語大賞』で”インスタ映え”が流行語大賞にも選ばれたのは2017年のこと。それから時が経つこと7年、今やSNSは目新しいアプリではなく、人々の暮らしにおいて日常の道具となった。それにともない、SNSに関するトラブルが急増している。そんな状況を受け、日本国内でも、地域の小中学校へと通う学生向けに、相談窓口を設置する自治体も現れた。

 民放キー局記者が語る。

「いじめや不登校、SNSやネット上で起きた友人間のトラブルなどを学生が相談するための窓口を、京都府舞鶴市教育委員会は24年3月から設置。市内に25ある市立小学校に通うおよそ5800人の児童生徒は、日頃から授業で使用している学習用タブレット端末を使って、悩みを相談窓口に直接送信できる仕組みです」

 一度ネット上で炎上騒動が起こると、賛否両論が入り乱れ、SNSは沸騰。当事者の心身に大きな負担を強いることになる。そして、それは日本に限ったことではない。そうした状況に業を煮やし、SNSを運営する巨大IT企業を相手取り、裁判を起こした都市も、海を越えた先にある。

「アメリカのニューヨーク市です。動画投稿アプリTikTokやインスタグラム、Facebook、YouTube、写真共有アプリのスナップチャットが若者の精神面に悪影響を与えており、市民のためのカウンセリングなどの対策に年間で毎年1億ドル、日本円で150億円以上がかかっているとして、運営するIT各社へと2月14日(現地時間)に損害賠償請求を起こしたのです」(前同)

 このニューヨーク市の動きを「極めて真っ当」と話すのは、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社)などの著書があり、長年、ウェブニュース編集者として活動してきた中川淳一郎氏だ。

「若年層は人生経験もまだまだ未熟。ちょっとしたことで落ち込んだり、悩んだりしてしまう。SNSでの誹謗中傷も、真に受けやすいのです」(中川氏)