■動画・写真、SNSはインパクト大 日本でも過去に大騒動

 また前出の中川氏は、「今回、ニューヨーク市が損害賠償請求を求めた企業が運営するSNSの多くが、写真や動画の投稿を主流とするメディアだったことは注目に値する」と指摘する。

「文字情報に比べて、動画や写真はインパクトがある。投稿者はより過激で刺激的な動画・写真を投稿しがちですし、視聴者もそれを煽ります。これは過去に日本国内でも話題になったバイトテロやバカッター騒動からも明らかでしょうでしょう」(前同)

 大学生やフリーターを中心に、バイト先の食材や商品を使い、ふざけた様子を投稿する若者がX上に多発したのは2013年のことだった。

「このとき、1枚の写真の投稿がきっかけで職を失ったり、退学処分になる学生も出ました。動画や写真メディアのほうが文字メディアよりもインパクトがある証拠です。ニューヨーク市としても、若者の精神状態に悪影響を及ぼしやすいとして、動画や写真の投稿を中心とするSNSの運営会社を訴えたのでしょう」

 運営する企業相手に損害賠償請求を起こしたニューヨーク市のアダムズ市長は2月14日、「若者たちは不安や絶望を経験し、自殺未遂の割合はこれまでにない状況だ。そしてソーシャルメディアが問題の要因であることを示す証拠が増えつつある」と発言している。

 アメリカでは、行政機関が社会への悪影響を問題視し、裁判を起こす事態にまでになったSNS。かの国とはまったく同じ状況ではないが、日本もこのまま、なんの対応もないままというわけには、今後いかないだろう。

※厚生労働省は、悩みや年代によって選べる電話相談窓口を設置しています。
「よりそいホットライン」(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 
0120-279-338 ”つなぐ ささえる”
「日本いのちの電話」 (一般社団法人 日本いのちの電話連盟)
ナビダイヤル 0570―783―556  午前10時~午後10時
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中川淳一郎
1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり、2001年に退社。その後、多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など多数。最新刊は『日本をダサくした「空気」』(徳間書店)。