■まだある、大谷コンテンツが「おいしい」理由

 大谷選手が“おいしい”ポイントは他にもあるようだ。

「基本的に夕方テレビを見ているのは女性がメイン。ただし、元来野球ネタは男性が好きなコンテンツなので、単なる野球ネタを持ってきても、そうした視聴層には絶対見てもらえない。

 でも大谷選手に限ってはイケメンで品もあって人間性も素晴らしいから、男性だけでなく女性も見る。毎日放送することで、“17時半からは大谷の時間”という視聴習慣がつくことも狙えます」(前出の鎮目氏)

 まごうことなき国民的スターである大谷選手。視聴率を稼げるため、民放の情報番組もこぞって彼関連の放送をしまくっているが、「懸念点がなくはない」と鎮目氏は指摘する。

「まず、スポーツ選手ならケガや欠場の可能性もあるわけで、“大谷一本足打法”で番組作りを行なうと、緊急時の対応が求められることになります。また、いくら視聴率が取れるといっても、あまりにも大谷選手ばかりを番組内で扱うとげんなりする視聴者も出てくるでしょう。

 やはりNHKは公共放送として、民放の模倣ではなく、バランスのとれた報道番組を作ってほしいなとは思いますね。主婦や高齢者の方など、この時間帯にテレビを見ている人に向けて、社会の役に立つ放送をするのがNHKの本筋。大谷選手だけでなく、他に頑張っている人たちにも焦点をあてた番組作りをしてほしいですね」(前同)

 新番組が大谷選手頼みとなれば、もはや民放局と変わらず、番組名につく“LIVE”も怪しくなってくる。果たして公共放送の午後の約3時間の生番組はどうなるのか――4月からのNHKに注目が集まる。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)