■「劇場版→ドラマ」を仕組む制作側の“目論見”

 まず”劇場化された作品の続編を有料ドラマで放送する”という誘導手法について。前出の元テレビ朝日プロデューサー・鎮目氏は、この座組みを「最初から決まっていたことは間違いない」と言う。

「劇場版がヒットしてから次のドラマ制作を考えたわけではなく、最初から連続ドラマの制作を見込んだ上でのパッケージ。ですが視聴者サイドにしてみれば、最初から続きはドラマで放送されることが分かっていないと、劇場版はドラマへの壮大なプロモーション映像、あるいは入会キャンペーンのような受け止め方になりかねないとは思います」(前同)

 では制作側にとって、これまでの地上波テレビドラマの王道パターンだった”ドラマから劇場版”と、『沈黙の艦隊』『ゴールデンカムイ』がとった”劇場版から有料ドラマ”の違いはどこにあるのか。

「今までは、ドラマで人気の出た作品が映画化されていましたよね。地上波のテレビは大型スポンサーありきで視聴者は無料。ですので、局にとってそれほど儲けが出るわけではない。視聴者の方に“続編”で映画館へと足を運んで有料で見てもらうことで、大きな売上が立つという仕組みです。

 一方、劇場版から有料ドラマへの視聴者誘導パターンは、原作ファンに始めからお金を払わせる発想で作られている。そのため、大前提として原作が人気漫画でなくてはならないという条件に加えて、作り手側も最初から劇場版の観客を有料サービスへと囲い込み儲けることを念頭に置いているのです」(同)

 有料配信を行なうプラットフォーム側としても、劇場版発のドラマを制作するメリットは大きい。

「映画館という閉鎖空間、視聴者の途中離脱がない環境で、次なるドラマのための伏線という名のPRができるのはかなりおいしい。自分はそれほど作品のファンでなくても、原作ファンの友人と映画館に行ってハマり、会員になってくれる人だって出てくるかもしれません。

 しかもドラマが始まると視聴者は何か月間かは月額料金を払います。映画もドラマも自前のプラットフォームに乗せられる。当然、特集や宣伝もしやすい。さらにそのドラマをきっかけに、他のコンテンツに目を向けてもらうチャンスも生まれます」(同)

『ゴールデンカムイ』プロジェクトでは、すでに今回のドラマに続く形でさらなる劇場版の構想もあるとのこと。ドラマも“シリーズ1”をうたうからには、シリーズ2、3と続くことが十分に考えられる。劇場版とドラマを行ったり来たりさせることで、ドラマを放送するWOWOWとしては視聴者を長く自社プラットフォームの会員に留めておけることになるというわけだ。