3月10日、『爆上戦隊ブンブンジャー』(テレビ朝日系、日曜日朝9時30分から)の「バクアゲ2」(第2話、以下同表記)が放送される。
『ブンブンジャー』は3月3日にスタートした、スーパー戦隊シリーズ第48作目の特撮番組。「クルマ×つくる」をコンセプトに、新しい時代を爆アゲる、大胆不敵で超前向きなヒーローを描く。
第1話は「ザ・戦隊」とも言える原点回帰の作風で描かれており、番組名がX(旧ツイッター)トレンド入りするなど、良いスタートダッシュを切っている。
新戦隊の第1話は毎年SNSは大盛り上がりとなるが、特に2月25日に最終回を迎えたばかりの『王様戦隊キングオージャー』は、最新鋭のLEDウォールを駆使して描いた異世界ファンタジーストーリーや多くの伏線を見事に回収する脚本などで大ヒット。従来の『スーパー戦隊』と大きく異なる作風は世界トレンド1位を獲得。さらには最終章3話分をディレクターズカット化など、メガヒットであった。
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— 王様戦隊キングオージャー【東映公式】 (@King47_toei) February 25, 2024
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その成功体験があったうえで、なぜ次の『ブンブンジャー』はその路線を歩まず古き良き感じに戻したのか――『キングオージャー』から戦隊に興味を持った人は、疑問に思うことだろう。
それには、2つの理由が考えらている。
1つは商業面。
『キングオージャー』に限らず、特撮界隈は“大きなお友だち”の視聴層も増え、SNSが盛り上がったり、アクリルスタンドなど大人向けグッズもなかなか充実するようになった。
一方で、売上面では話が別。ドライな話になってしまうが、特撮ヒーロー番組は“おもちゃの宣伝番組”の顔を持つ。劇中にカッコいいロボや変身アイテムを出し、それを子どもが買う(親に買ってもらう)ことで収益化するのだ。
そして、現在、戦隊はおもちゃの売上面ではメインターゲットである子どもを相手に苦戦する事態が続いている。
『キングオージャー』も例に漏れず、売上が昨夏時点で前年度から4割減していたことが公式の発表で明らかとなっている。『キングオージャー』の前作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の売上が良かったことも、厳しいデータに影響しているかもしれないがそれを差し引いても、
《キングオージャーね、玩具商売目線で見ると初手の時点でこれまであったアカンやつの既視感が色々でてきてしまうやつだから。ロボ出なかった件は本当に私は純粋に「ジャンル」の話をしてますよ》
《ロボにわざわざキングオージャーって付けなくても良かったんじゃないかな。キングオージャーって名前のロボット出すならちゃんと出さないと駄目だったと思う》
と、視聴者からも“歴代シリーズでもロボが登場しない回が多かった=販促できていなかった”という点が指摘されている。
『ブンブンジャー』はその反省もあるのか戦隊で初めて、YouTubeで公式キッズチャンネルを開設するなど、あらためて子どもへのアプローチを頑張っていることが分かる。
もちろん『キングオージャー』が子どもを無視していたとは言わない。むしろメインライターの高野水登氏がXで意見を募るなど頑張ってはいたが、『ブンブンジャー』は本来の購買層を意識した作品づくりを、例年以上に意識しているということだろう。『ブンブンジャー』の脚本家に『イナズマイレブン』や『ポケモン』など、子ども向け作品に強い冨岡淳弘氏を起用していることも、それを感じさせる。