■良いところは生かし、戦隊は進化し続ける

 こういった3年間の積み重ねは100%の大成功に終わったわけではなかったが、現場は大幅なスクラップ&ビルドを繰り返すことでノウハウを蓄積。1度既存の戦隊の常識を壊したことで、より“戦隊らしさ”を研ぎ澄ませ、そのうえで良い部分は取り入れる原点回帰の環境が整ったのかもしれない。

 その証拠に、今回の『ブンブンジャー』は戦隊の王道を突き進んでいる一方で、すべてがすべて旧来の戦隊をなぞっているわけではない。

※画像は『ブンブンジャー』の公式X『@BoonBoom_toei』より

 たとえば『ブンブンジャー』第1話の大筋は“本編前から活躍している戦隊に新戦士が加入する”という戦隊あるあるの展開だが、その“新戦士”が主人公のレッドではなく女性戦士のピンクというのは珍しく、『ドンブラザーズ』に近いものがある。

 また、CGの技術が目に見えて向上しており、「ハイウェイ空間」(※第1話時点では謎の多い異空間。これを敵キャラが通ることで巨大化する)での迫力あるカーチェイスは『キングオージャー』で培ったノウハウが生きていることを感じさせる。

 Xでは本作に関して、

《ブンピンクのキャラ付けは明らかに鬼頭はるか(※『ドンブラ』のヒロイン)の影響下にあるしCG空間でのカーレースはキングオの技術を活かしたものだと思うし、ただ王道路線に回帰しただけってわけではなくちゃんとここ数年の戦隊の流れも汲んでる内容なのがいいよねブンブンジャー》
《最近の戦隊で培ったノウハウで、これまでの戦隊ものをやってみたら、って感じだったな。それでいて、アクションを全部載せて、ぶっ込んでたのよかった。カーアクションいいぃっ》
《ブンブンジャー1話 Aパートはドラマ重視でBパートは従来の戦隊の何でもアリな派手なノリで良かったっス 戦隊は今までのノウハウの積み重ねでドンドン面白くなるな》

 といった、評価する声が多く寄せられている。

 これまでもマンネリやそれによる番組存続の危機を迎えるたびに、驚きの発想で斬新な作品を生み出してきた『スーパー戦隊シリーズ』。『ブンブンジャー』も、キャッチコピーに違わず爆アゲの名作になることだろう。