■日本独特の“アイドル文化”とアメリカのエンタメ界との違い

 時代の変化もあり、近年のファンは“推しには恋人がいるかもしれない”と思って、その思いに上手く折り合いをつけているフシがある。熱愛報道後、SNSに寄せられる意見でも、お相手がいたことではなく、“プロ意識があるなら隠してほしかった”“匂わせて楽しんでいたのか”という方向での怒りの声が目立つ。

「タレント本人が“どうしても交際していることを言いたい”と主張するなら事務所もコメントを止めるような時代ではないですが、みんながみんな”現実“をファンに知らせたいか、となるとそれも疑問です。

 そして、STARTO社の福田社長は、経歴やこれまでの発言からアメリカや世界のエンタメ界のやり方、常識を意識していると思われますが、一方では日本のアイドル文化にあまり詳しくない感じもします」(三杉氏、以下同)

 福田氏は独立前、『東北新社』や『ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント』などメディア事業に関する会社で働いてきた。「健全な競争原理が働く米国のエンタメ産業に身を置いた」とも、本人が過去にコメントしている。その経験があったからこそ、日本の芸能界のやり方に疑問を抱いているのだろう。

「ただ、ハリウッド映画が良い例ですが、アメリカのショービジネスは、洗練された最高峰の商品で観客を魅了する傾向にある。一方で、日本のアイドル文化は、まだ発展途上で素人っぽさも残る若いタレントが成長していく“成長物語”を見せるのが、いちコンテンツとして成立しているところもある。さまざまな違いがありますよね」

※画像は『だれかtoなかい』の公式X『@darekato_nakai』より

 “旧ジャニーズのアイドル”の代表格である中居正広(51)も、過去にバラエティ番組で「“未完成”“半人前”がアイドル。1人前になるまでの過程を、若い女の子が“誰誰くん頑張って”って。それが魅力の1つ」と、話していたこともある。

「これまでの日本のアイドル文化と、福田氏が理想としている“新しい芸能界”は、あまりにも違う。それだけに、改革を急ぎすぎてしまうと、やはり上手くいかないところも出てくるのではないでしょうか」

 芸能界が新たに生まれ変わろうとするなかで問われることになりそうな、特別で独特な「アイドルとファンの関係性」――簡単に“答え”が見つかることではないだろう。