■面接官に言葉を伝わりやすくする「ラの法則」

 面接官に自身の言葉を分かりやすく伝えるために、テンションを上げて、1.5倍の声量を意識するには「ラの法則を実践してほしい」と前出の竹内氏は続ける。

「いつもの声がドレミファソラシドの下の“ド”だとしたら、“ラ”のトーンで話すように心がけること。間接的に自分をアピールするのだから、通常運転ではいけません。無名の人がステージに上がるとき、Tシャツとジーパンのような普段着で登場しても印象には残りづらいですよね。目立つ衣装に着替えるから人の注目を集めやすく、自分もスイッチが入りやすくなる。意識を変えることが大切です」(前同)

 画面越しに、リアクションを取る際も、身振り手振りを交えた少しオーバーなリアクションのほうが伝わりやすいという。

「もちろん、面接する企業のカラーにもよるでしょうから、TPOはわきまえないといけません。しかし、身振り手振りをするだけで、人は見入ってしまいます。僕たちのようなエンタメ業界人は、むしろ人と違ったアイデアの動画はウェルカムなくらいです(笑)」(同)

 コミュニケーションを行なう際、人間は言葉以外の情報(非言語情報)も重要な要素として認識している。むしろ言葉より、表情や声のトーン、身振り手振りなどを使った非言語的なコミュニケーションのほうが、情報量が豊かだと言われているほどだ。          

 ただし、「面接の際は動画を見ている面接官にストレスを与えない動画を目指すこと」と、竹内氏は釘を刺す。

「面接官は視聴者。いわば動画を見るプロ集団です。画質が悪い、音質が悪いといったことはもちろんですが、見ている人を置いてけぼりにする独りよがりな動画は、マイナスのイメージを与えるだけです。個性は出すけれど、見ている面接官の気持ちを考えられるような動画作り、動画面接を心がけてください」(同)

 国内でも、有名企業をはじめ、多くの企業が取り入れている動画選考。数多の動画が送られてくるからこそ、埋もれずに目立つことが大事。だが、単に目立てばいいというわけではない。見ている人の気持ちをくみ取れるか――それこそが、好印象か否かを分かつポイントになりそうだ。

『令和の虎CHANNEL』にも出演する竹内亢一社長  ※画像は本人提供

竹内亢一
1981年、三重県生まれ。中学校卒業後にミュージシャンを目指し鞄一つで上京。バンド活動で訪れた海外にて「映像」が秘める可能性の大きさに着目し、2006年から動画制作を独学で始める。YouTuberやコンテンツマーケティングといった言葉が日本で広まる前からYouTubeに着目し、2013年YouTubeマーケティング会社『Suneight』を設立。24年2月に『知名度の上げ方』(クロスメディア・パブリッシング)を出版