■日本とアメリカの芸能界での“権利”への考え方の違いは――

 さらに正木弁護士は、キンキと事務所の契約に関して、「日本の裁判例では、パブリシティ権という権利が認められています」と話し、こう続ける。

「それは、たとえば堂本さんたちの外見である肖像等を利用した財産的な権利(ブロマイドを売ったり、広告に堂本さんたちの写真を使ってお金を稼いだりする権利のこと)の存在が認められているということです。旧ジャニーズ事務所のようなしっかりした事務所であれば、このような包括的な権利に関する定めを、堂本さんたちと取り決めているのではないでしょうか。

 堂本さんたちが『キンキキッズ』という名前、ブランドで活動しようとすると、どうしてもその名前に財産的な権利がくっついてきます。そのため、堂本光一さんがキンキの名前を使えないと言っていることも踏まえて考えると、現在の契約上、『キンキキッズ』として活動してお金を受け取ったりすることは禁止されている、事務所が独占する内容になっているのではないかと思います。

 もちろん、堂本さんたちの退所にあたって、その辺りの権利関係を整理して、『キンキキッズ』としての活動が許可される可能性は残っています。

 なお、『堂本光一』『堂本剛』という名前の商標登録は確認できなかったので、こちらの名前で活動することまでは禁止されていないのではないかと思います》

 さらに正木弁護士に、日本とアメリカの芸能界での権利への考え方の違いを訪ねたところ、正木氏は「法的な解説と言うよりは一般的な解説」と注釈を入れたうえで、こう回答してくれた。

「日本のいわゆる芸能人は、まず芸能事務所に所属して活動を開始します。しかし、アメリカの芸能界においては、特に映画出演などで特徴的ですが、エージェントが個々のタレントや契約ごとについて活動しており、おのずから、日本とは芸能事務所との関わり方が異なっています。

 日本では、タレント活動の権利者が事務所になっていることにさほど抵抗感がない、さらに言えば受け入れないと事務所に所属できず芸能活動もできないのではないかと思います。そのため、長期間、場合によっては恒久的な権利の定めを事務所への入所時に行なうことが多く感じます。

 一方で、事務所(タレントエージェント)への帰属意識が異なるアメリカなどでは、そのような長期間の権利関係の定めについて、かなり注意をして行なっているはずです」

※画像は堂本光一の公式インスタグラム『@koichi.domoto_kd_51』より

 前出のワイドショー関係者は言う。

「STARTO社の福田社長は、のんさんのケースではかなり厳しく発言しているし、何度も日本の旧態依然の事務所ファーストの芸能界を否定しています。権利問題は複雑で難しいところはありますが、もし光一さんが本気で独立と、その後の『キンキキッズ』の使用継続を希望した場合は、柔軟に方法を考え、対応してくれるのではないでしょうか」

 前述の『だれかtoなかい』では後輩の指導などもあるため、退所の意思はない旨を話していた光一。時が経ち、独立する日が来たとしたら、その時、キンキの名前は残るのだろうか――。

正木絢生弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや借金・離婚・労働問題・相続・交通事故など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。

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