多くの現代人にとってなくてはならないもの――といえば、スマートフォンはそのひとつだろう。
興行収入約20億円を記録した北川景子(37)主演のサスペンス映画『スマホを落としただけなのに』(2018年公開)など、大人気女優が主演する映画のタイトルにまで使われるほど我々の日常生活に欠かせないものとなったスマホ。画面を忙しなく触りながら熱心に眺める人々の様子は、通勤・通学における日常風景でもある。
そんなスマホ熱に浮かされた、子どもたちによる行動が現在、社会問題化している。
国民生活に関する調査や消費者トラブルの相談受付を行なう国民生活センターの担当者が話す。
「子どものオンラインゲームに関連したトラブルは近年増加しています。親のスマホを子どもが使い、オンラインゲームに課金したといった事例に関する相談も枚挙にいとまがありません。小・中・高生が対象となったオンラインゲームに関する相談件数も2018年が1995件だったのに対して、23年度は3107件(1月31日時点)が寄せられています」
23年度に国民生活センターへと寄せられた小・中・高生のスマホゲームに関連した相談件数の内訳は、小学生が1501件、中学生が1167件、高校生は439件となっている。
「相談が寄せられたオンラインゲームトラブルの平均課金額はおよそ29万円。子どもが100万円以上課金してしまったというケースも全体の5.5%と、課金トラブルの高額化が目立ちます」(前同)
子どもたちが、新卒サラリーマンの初任給を超える高額をスマホゲームへ注ぎ込んでいると聞けば穏やかではない。文教大学情報学部非常勤講師でITジャーナリストの三上洋氏がトラブルの実態を解説する。
「スマホゲームに関する高額課金トラブルが相次いでいる背景には、ゲームが課金を煽る仕組みになっていることが関係しています。
スマホゲームを有利に進めるためには、レアアイテムやレアキャラクターをゲットする必要がある。そのためには、ゲーム内で使うアイテムを“ガチャ”と呼ばれるくじ引きシステムでひき当てなければなりません。ゲームに夢中になるほどこの”ガチャ”をやりたくなり、ブレーキの利かない子どもが課金してしまうのです」(三上氏)