■経験者が話す、水原氏の通常ではないカネの動き
合法なスポーツ賭博であれば利用者以外は、入金できない仕組みになっているというわけだ。前出の男性は、報じられている水原氏の入金方法に疑問を感じると話す。
「合法なブックメーカーであれば、アカウントを持つ本人の口座からしか入金はできません。一方で水原氏は、大谷選手の口座からブックメーカーの関連口座へと入金をしていたと報じられていますよね。これは合法なブックメーカーではできないはずです。違法なスポーツ賭博を利用していたと報じられているように、まともなブックメーカーを水原氏が利用していなかったのは、その入金方法からも明らかだと思います」
また、水原氏が作った損失額の多さも異常だと男性は指摘する。
「水原氏がスポーツ賭博に手を染めたのは21年からとのこと。報道通りであれば、この3年間だけで7億円近い損失を出したことになります。合法なブックメーカーであれば、どんなビッグマッチでも賭け金は1試合1000万円が限度。水原氏の入金額は、明らかに通常の上限を超えていたと考えられます」
一方で、この男性はオンライン上で行なうスポーツ賭博はハマりやすいとも警告する。
「自分の興味があるスポーツにお金を賭けるので、観戦にも熱が入る。また、試合中に得点が入ったタイミングでレートが変動したりもするので、“もっとお金を注ぎ込まなければ”と躍起になるんです。一度始めると、なかなか止められないのが実態です」
一度ハマると抜けられないギャンブル地獄――。対処法はあるのか。ギャンブルへとのめり込む人の診察を多数行なってきた、精神科医の木村好珠医師が語る。
「ギャンブルにハマる入り口は人それぞれ。日常生活でのストレスの捌け口になればといった軽い気持ちで始める人も多いですね。日常生活が送れないほど多額の借金を背負ったり、他人に嘘をついてまでギャンブルを行なうようになれば、それは依存状態と呼ばれます。
そこまでいくと、抜け出すのは非常に難しい。治療が必要ですので、まずは本人がギャンブルに依存していると自覚することが大切です」
それでも止められないのが、依存という状態。ダメだと思っても止められない――そんな状況で、重要になるのは「ギャンブルと物理的な距離を取ること」と木村医師は話す。
「ギャンブルから離れるということが大切です。カジノやパチンコなどに依存している人は、そういった環境の近くには住まない。オンライン上でのカジノなどにハマっている人は、スマホやパソコンは、必要なとき以外は触らない、そうしたことが大事でしょう」(前同)
大谷選手と二人三脚で、野球史に残る二刀流の活躍を支えてきた水原氏の戦線離脱。騒動が報じられると、大谷選手は水原氏のインスタグラムのフォローを解除した。水原氏がギャンブルを通じて失ったのは、おカネだけではない。
木村好珠(きむら・このみ)
東邦大学医学部卒。在学中の2009年にミス日本グランプリ決定コンテストで準ミス日本受賞、2010年に日テレジェニック2010メンバーに選出。
2014年に医師免許を取得。慶応義塾大学病院にて研修後、精神神経科に進む。山形県内精神病院で勤務後、現在はこのみ こころとからだクリニック院長として勤務する傍ら、産業医、健康スポーツ医として活動。