「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、大安売りだよ」市場やマーケットと聞けば、頭の中には“安売り”の3文字と威勢の良い掛け声が浮かぶもの。しかし、そんな雰囲気とかけ離れているのは、昨年11月24日に開業したばかりの麻布台ヒルズ地下1階に位置する『麻布台ヒルズマーケット』だ。
大阪府阿倍野区にある、あべのハルカスを抜き去って“日本一高いビル”との称号を手にした麻布台ヒルズ。地下鉄日比谷線の神谷町駅が最寄りの日本一高いビルで生鮮食品を扱うマーケットコーナーがオープンしたのは、3月13日のことである。そこに立ち並ぶ専門店は34店。一歩足を踏み込めば、そこは安売りなどという言葉とは微塵も縁がない世界だという――。
店に足を運んだ来店客の1人が語る。
「近くまで来たのでマーケットに足を運んでみたのですが、まあ高い。トマトは1箱20個も入っていないのに3000円もしましたし、メキシコ産のアボカドは1個432円。あまりの高さにビックリしてしまいましたよ」
庶民的なスーパーで購入すれば、トマトはせいぜい1個100円。アボカドも150円ほどといったところか。一般の感覚を遥かに上回る麻布台ヒルズ価格。驚くにはまだ早いとばかりに、前出の来店客が続ける。
「鮮魚コーナーにはいけすがあって、北海道産の毛蟹や沖縄産の車海老が生きたまま売られているんです。毛蟹は1杯・12000円、車海老は1尾・500円。ふだんスーパーで目にすることがない食材があることにも驚きましたし、その値段はとにかく高いのなんの」