■最低時給は2280円でも家賃は月20万円! 海外生活リアル
日本にとってワーホリ初提携国であるオーストラリア。同国は、制度利用者が一定期間の季節労働従事(農業、畜産、建築業など)を満たせば、提携国中最長となる3年間の滞在が可能だ。オーストラリアの魅力について、前出の千葉教授は「移民国家ゆえにさまざまな言語能力の人がいる。そのため、他人の言語能力にも寛容で、多少英語が話せなくても仕事にありつけるというのが最大の人気の理由」と話す。
そのうえで、千葉教授も注目するのが「時給の高さ」である。
「オーストラリアの最低労働賃金(時給)は比較的高く、23.23豪ドル(約2280円)。これは最低時給が全国平均1004円である日本の2倍以上です。ただ、ワーホリ参加者に就労先を斡旋し、給料から紹介料を不正にピンハネする業者もあるとは聞きます。その手の悪徳仲介業者に引っかからなければ、最低賃金より少し高い25豪ドル(約2460円)がワーホリ参加者の時給目安です」(前同)
日本人が働くのは、季節労働以外だと旅行会社の日本語ガイドやカフェ勤務などさまざま。日本の倍以上の時給で働けるとなれば生活も潤いそうなもの。しかし、千葉教授は「生活物価は決して低くない」と現地生活の実態を指摘する。特に現地生活を進めるうえで高い壁となるのが、日本に比べてはるかに高額な家賃だという。
「いわゆる単身用アパートで、治安が安定した都心に住もうと思うと1か月の家賃が20万円近く にのぼります。現在、シドニーなどの都市部がある東海岸はもとより、西海岸の家賃も高騰してきており、どの都市に暮らすかも重要です。こうした家賃の高騰は、コロナ明けで移民が増えたことも無視できません。生活にお金がかかるため、ワーホリでオーストラリアへと出向く人たちは月収30万円以上を目標にしているようです」(同)
ワーホリだとシェアハウス生活を考える人も珍しくない。しかし、それでも月に10万円~15万円は費用がかかるのが現実だという。
「シェアハウスは家賃が安く済むというメリットがありますが、同居人に気を遣いストレスを抱えることも。まずはお試しで1週間だけシェアハウスを契約するなど、お試し期間を設ける人もいます」(同)