■帰国後の道はインバウンド人材
ワーホリを終えた日本人は、帰国後どうするのだろうか。
「ワーホリを海外で働く第一歩と捉えて頑張っている人も多いです。語学学校と仕事を並行して、現地で何らかのスキル取得を目指し、就労ビザの取得を進める人も少なくありません。ただ、あくまでワーホリは”経験”であり、英語コミュニケーションの上達手段として、帰国する人がほとんどです」(前出の千葉教授)
ただし時代とともに、ワーホリ経験者への世間の見方も変わってきたという。千葉教授がその変遷を解説する。
「かつてワーホリ経験は、日本のビジネス社会においてそれほど大きな評価を受けませんでした。しかしアフターコロナにおいては独立心があって即戦力になる、という見方に変わりつつあります。
政府は2030年、訪日外国人数6000万人を目標に掲げています。そうした日本の情勢を踏まえると、ワーホリ経験者が海外からの旅行者向けのインバウンド人材として雇用されたり、活躍できる機会も今後増えるのではないでしょうか」(前同)
海外へと出ていく若者たち。昔と違うのは、「稼げる」という視点があることだ。野茂英雄さん(55)や中田英寿さん(47)が海を越え異国の地へと活躍の場を移したのは90年代。異国の地で働くことが「挑戦」だった時代は終わりを告げ、若者にとっての「日常」にならんとしている。