■タイ人は日本人の「パクチー好き」をどう見ているのか

 ピザハットが発売するパクチーピザに限らず、日本の飲食店やレシピサイトには、パクチーサラダや、パクチー大盛りのラーメン、たっぷりパクチーが入ったモヒートなど、パクチーまみれになったメニューは多数存在する。そうした“パクチー好きの日本”を、パクチーを使ったメニューが売りであるタイ料理を生んだ国のタイ人は、どのような目で見ているのか。

世界くらべてみたら』(TBS系)などのテレビの人気番組にも出演し、日本で活動するタイ人タレント・ブンシリさんに、弊サイトが話を聞くと、昨年初登場したピザハットのパクチーピザは「タイのインフルエンサーの間でも話題になった」とのこと。タイ人にとってもインパクトは大きかったようだ。

「タイ人の生活にパクチーは欠かせないものですが、一度にそこまで大量に食べるものではありません。飾りとして上に乗せたり、唐辛子とミキサーにかけてタレにしたりといった使い方で、あくまでも薬味という位置づけ。日本人みたいにサラダとしてそれを丸ごと食べるっていうのはないですね。だから、日本人のパクチーが主体になったメニューにはびっくりします(笑)」(ブンシリさん)

 ブンシリさん自身、生のパクチーは「正直、そこまで食べない」という。なぜか。

「高いんですよね。タイ人に欠かせない食材にはパクチーの他に唐辛子もあるけど、優先順位的には唐辛子のほうが欠かせない。パクチーはギリギリなくてもいいかな、みたいな……。だからピザハットさんがあんなにパクチーをてんこ盛りにするのは、太っ腹だなと。生野菜だし、調達も大変だったと思いますよ。

 ただ、日本でパクチーメニューに使われるパクチーと、タイで食べるパクチーはちょっと違う気がします。日本で使われるパクチーのほうがクセがなくて柔らかい。僕も日本でパクチー食べ放題のお店に行ったことがありますが、確かに、これならおいしいなと思ったことはあります」(前同)