■気軽な「いいね」バイトに潜むリスク

 TBS系の情報番組『ひるおび』などのコメンテーターとしても活躍するITジャーナリストの三上洋氏が、SNS上の「いいね」を取り巻く環境の変化を話す。

「SNSが世に出始めた当初から“いいね”数、フォロワー数、動画においてはチャンネル登録者数、再生回数を増やすビジネスは横行してきました。単純に著名人が見栄のためにと数字を稼ぎたい、という場合もありますが、よくあるのは何らかの宣伝や企画をする会社がバイトに依頼するケース。

 SNS上の反響で効果測定をするため、”いいね”数が多ければ多いほど良いというわけです。いわゆる“不正行為”ですが、堂々と存在してしまっているのが事実です」(三上氏)

 しかし本来、無料であるはずの「いいね」に高いコストはかけられない。そこでスマホを大量に並べた工場のような環境に人を集め、激安の賃金で効率的に「いいね」を量産するわけだが、三上氏は「巡査長は詐欺、あるいは闇バイトにひっかかっている可能性が高い」と、その怖ろしい実態を話す。

「実は“いいね”をつけるバイトは、応募してきた人が闇バイトの犯罪に巻き込まれるきっかけになったり、カネを盗られるケースもあるのです。人材マッチングサイトで”いいね”バイトの募集を見てみると、作業時間は1日30分間ほど。毎日数百の“いいね”を押すだけで月1万円稼げるといった求人が見つかります」(前同)

 まるで自宅で手軽にお小遣い稼ぎができるかのような謳い文句が、バイト募集の文面には並ぶというわけだ。しかし、その内容をよく読むと《契約金額からシステム利用料を差し引いた金額が受取金額となります》などと書かれていることが多々あるという。

「バイトへと応募する側からすると、まさか手数料(システム利用料)が報酬を上回るとは思わないものですが、その手数料がだんだん上がっていったりするのが実態です。巡査長の場合、報酬よりも手数料が高くなっていたという話なので、まさにこの手口に引っかかってしまったのではと」(同)