■巡査長の副業が「バレた」ワケを専門家が推察

 前出の三上氏によれば、「応募者に対し、一旦きちんと報酬を払う」のも、応募者が”いいね”バイトの罠にハマりやすい理由だという。

「一度、応募者へと報酬を払った後に何かと名目をつけて、働く側からお金を巻き上げようとする。これがエスカレートしていくと、何らかの闇バイトに巻き込まれているのではという疑惑が出てきます。

 たとえば“報酬が高額の振込みになるから身分証明書を出してくれ”と言われて応募者がその通りにすると、身分証明書を元に脅されて別の犯罪仕事を依頼される可能性すらあります。

 いわゆる闇バイトにあたるものですね。闇バイトの中には、仕事の依頼主から”宅急便の転送”を頼まれ、その結果として、不正利用されたクレジットカードで購入した品物をバイトの応募者が、犯罪者側に送るなどのケースが散見されます。こうした犯罪に応募者が巻き込まれる可能性もあるのです」(三上氏)

 そのうえで三上氏は、今回の巡査長の「いいね」バイトが発覚した経緯について、こう推測する。

「今、警察は闇バイト対策を非常に強化しています。想像ではありますが、闇バイト、もしくは詐欺などの捜査をやっているなかで、偶然、巡査長が浮上してきてしまったのではないかと。もちろん副業は違反でしょうが、巡査長は“被害者”とも言えるかと思われます」(前同)

“手軽に稼げる”ことを売り文句にする求人には、落とし穴があるのだ。

三上洋
東京都世田谷区出身、1965年生まれ。都立戸山高校、東洋大学社会学部卒業。テレビ番組制作会社を経て、1995年からフリーライター・ITジャーナリストとして活動。文教大学情報学部非常勤講師。
専門ジャンルは、セキュリティ、ネット事件、スマートフォン、Ustreamなどのネット動画、携帯料金・クレジットカードポイント。