■誌面にはエジソンら歴史上の偉人の名前が登場
100年前に作られた80ページほどからなる創刊号を眺めてみると、記事の多くには執筆者として原田氏の名前が記されている。編集長としてのみならず、科学の専門家、そして現場を取材する記者としての顔も持っていたようだ。また、当時の雑誌の中には、誰もが知る歴史上の偉人の名前もあった。
「創刊号にも名前が載っているのは当時77歳、発明王として知られるエジソンです。84歳でこの世を去った際には『子供の科学』でも特集が組まれました。それとNHKの朝ドラ『らんまん』(23年)で神木隆之介さん(30)が演じた槙野万太郎のモデルであり、“日本の植物学の父”とも呼ばれる牧野富太郎さんによる連載も、25年から始まっています」(前出の土舘編集長)
朝ドラの主人公のモデルが連載していたとは、100年の歴史を誇る同誌ならではだろう。そんな歴史ある編集部で働く土舘編集長にとって、印象深い特集は、なんなのだろうか。
「太平洋戦争前夜や戦時中に発売された雑誌には、防空壕を掘ったり、本土決戦に備えたりする子どもたちの様子が特集されており、当時の日本の状況がリアルに伝わってきます。
それと東日本大震災でしょうか。放射線の研究者に取材して特集した“福島第一原発で起きていること”を掲載した号は完売。読者から“正しい情報が何かわからない中で、わかりやすく伝えていただいてありがたい”との意見が編集部には寄せられました」(前同)
科学好きな少年・少女とともに歩みを進めてきた『子供の科学』。雑誌不況や読書離れが進む現状をどのように捉えているのだろうか。
「やはり、書店が街中からなくなっているというのは苦しいですね。自分たちの作った雑誌が読者の手へと渡りにくくなっているのを日々、感じています。YouTubeなどの動画コンテンツやゲームはやっぱり面白いですから、スマートフォンなどに子どもたちの時間を奪われ、紙の雑誌を手に取ってもらうのは年々、難しくなっている印象です」(同)