■上野動物園に聞いた
シャンシャンにとっては母国語ともなる日本語を理解しているかのような、驚きの姿。映像で伝えられたシャンシャンの行動を知った日本人からは、《上野で本当に愛されて育ったのがわかる》《こんなん泣く》などの感情的な声がSNS上にあふれたほか、《日本で生まれて育ったから、日本語分かるのかなあ》と、シャンシャンは日本語を聞き分けているのか、と話題になったのだ。
果たして、実際にパンダは言語を聞き分けられるのか。そして6年弱、日本で生活していたシャンシャンは日本語を理解するのか――。シャンシャンの“実家”である上野動物園に聞いた。
同園・教育普及係の八巻圭佑さんによれば、飼育業務のなかでは他のジャイアントパンダと同様、シャンシャンにもふだんから名前などの声かけを行なっていたが、「中国語(の環境)で育ってきたリーリーやシンシンと反応が異なるという印象はありませんでした」とのこと。
四川省のジャイアントパンダ保護研究センターでシャンシャンが見せたという行動については、「日本語に反応していることが事実かどうかということを含めてわかりません」という回答に留めたものの、八巻さんは「ほかのジャイアントパンダも同様ですが、(名前を)呼ぶと近づいてくることはありました」と、振り返る。
言語の区別ができているかどうかは不明だが、シャンシャンが自身の名前を認識しているのは確かなようだ。ただ、前述の動画では、シャンシャンは「がんばったなあ」という呼びかけ部分ですでに反応しているかのようにも見える。
日本語を聞き分けているかどうかはシャンシャンしか知る由もないが、彼女が日本に愛着を持ってくれていれば、嬉しい限りだ。