線路を走る電車へと向けて熱心にシャッターを切るのは、鉄道撮影を趣味とする“撮り鉄”だ。そんな愛好者たちの行動は今、過熱気味のようだ。良い写真を撮ろうとするがあまり、危険を顧みずに身勝手な行動を繰り返す一部の鉄道ファンが引き起こすトラブルは時折、問題視されている。

 4月初旬には、東京駅と千葉県にある銚子駅間を結ぶ銚子電気鉄道株式会社が公式X(旧ツイッター)に《【撮影マナーをなぜ守っていただけないのでしょうか】》と投稿。

 鉄道ライターが話す。

「銚子鉄道では、線路周辺にある雑草の伐採や、駅から現在地の距離を示すキロポストの抜き取りが横行。立ち入り禁止を伝える警告看板の位置移動などの迷惑行為も発生しており、警察に被害届を提出しているというのです」

※画像は「銚子電鉄」の公式X(旧ツイッター)『@choden_inubou』より

 とどまるところを知らない一部撮り鉄たちによる身勝手な行動。先日は、羽田空港と成田空港間を走る北総鉄道の松飛台駅周辺で電車を撮影していた鉄道ファンが撮影したという写真がX上で、話題を呼んだ。

「投稿された写真は、ちょうどシャッターを切るタイミングで一人の乗客が窓から腕を出したため、せっかくの写真が台なしになったというものでした。“撮り鉄”がカメラを向けているのをわかったうえで、わざと車窓から腕を出し、撮影者を煽るかのような写真は、X上で1400万回ビューと大きな関心を集めました」(前同)

 投稿された写真は、北総鉄道が開催する春のイベント『ほくそう春まつり』に合わせた臨時列車で『春まつり』仕様のヘッドマークを装着して走っていた車両。期間限定で線路上に登場する車両とあって、それを狙って線路脇でシャッターチャンスを物にしようとした撮り鉄も少なくなかったと思われる。

「車両から腕を出した人の真意はわかりません。しかしながら、そこが撮影スポットだとわかっていて邪魔をした可能性もゼロではないでしょうね」(同)

 X上では、写真が台なしになったとしても、それは撮影側の“勝手な理屈”であるという意見も寄せられつつ、そもそも電車の窓から手を出すのは危ない、という声も多数上がっていた。

「仮に窓の外へ体を出すのが一瞬であっても、自分が思っているよりも電車の走るスピードは早く、大ケガにつながりかねません。万が一、そんなことが起きれば他の乗客にも迷惑がかかる。

 実際、千葉駅と安房鴨川駅を結ぶJR外房線では18年に、車内が暑かったからと窓を開け、窓枠に腰かけるような姿勢で座っていた19歳の男性が走行中の列車から落ち、大ケガをするという大事故が起きています」(同)