■水原一平被告の巨額賭博騒動勃発で雑誌は価値が上昇

 2015年10月、当時のMLBコミッショナーは「ファンタジーベースボール」について「賭博ではない。ゲームとしての技術が必要なもので、法に則っている」「ファンと(野球と)の関わりにおいて重要な要素」と商業的効果を主張していた。

「そんななか、1日など短い期間でプレイできるデイリー・ファンタジー・スポーツ(DFS)が始まり、さらに普及していきます。主にはNFLとNBAだといいますが、ベンチャー企業が主催し、プレイヤーは参加料を支払ってゲームに参加し、勝てば最高で100万ドル(約1億5600万円)を超えるような賞金を得られるように。それにより市場は大盛況となり、そこで再び、大手メディア企業などもDFSに参入していったんです。

 ただ、同時に検察当局が動いた運営サイドの不正もあった。また、一部プレイヤーの依存症の問題も浮上し、DFSを違法とする州も出てきました」(前出の夕刊紙デスク)

 近年では多くの州がDFSを許可している状況にあるというが、

「当然、愛好者やDFSで収入を得ている人、その関係者は同ゲームに深い理解がありますが、いまだ非常に厳しい目で見ている人も多くいるといいます。同ゲームは“技術が必要なもの”で運任せのギャンブルではない、といいますが依存性があることは否定はできないでしょうし、まだまだ議論はあるところなのではないでしょうか。

 そんな『ファンタジーベースボール』のガイド本の今季の表紙を大谷選手が飾ったというわけです。雑誌の発売当時は、エンジェルスからドジャースに移籍した“今季の大注目選手”が表紙になったというだけで大きな話題になりませんでしたが、3月20日のドジャースの開幕戦終了後に水原被告の賭博スキャンダルが勃発。

 結果、大谷選手が表紙の雑誌『ROTOWORLD FANTASY BASEBALL』にあらためて注目が集まったんです」(前同)

※画像はドジャースの公式X(ツイッター)『@Dodgers』より

 先の4月にアメリカ出張で現地を訪れた広告代理店社員はこう語る。

「コロラド州ボルダーのバーンズ・アンド・ノーブルという大型書店で、たまたま棚の端の方に売れ残っている雑誌『ROTOWORLD FANTASY BASEBALL』を見つけて、購入したんです。現地の友人に雑誌を見せると“大谷、こんな雑誌の表紙になっちゃってたんだね……”という反応でした。やはり現地でも、『ファンタジーベースボール』が“ギャンブル性があるもの”として見られているのだ、と感じましたね。

 水原被告の賭博騒動が勃発した後であれば“大谷の写真を表紙に使いたい”とオファーが来ても、大谷選手とドジャースは断固として断ったでしょう。

 大谷選手はもちろん、ドジャースにも非はありませんが、水原被告の事件が起こった今、大谷選手の微笑む写真が表紙を飾る『ROTOWORLD FANTASY BASEBALL』は、なんとも皮肉なものになってしまっている。やはり手に入れたい人もいるようで、もともとは6.2ドル(約970円)だったのが、今、アメリカのネット書店では、中古雑誌が20ドル(約3100円)程度で取り引きされているといいますよ」

 水原被告に約1700万ドル(約26億5000万円)も盗られ、さらには、なんとも皮肉な雑誌も話題になっているという大谷選手。水原被告は今月中にもあらためて出廷し、罪を認めると見られており、まだまださまざまな報道に振り回されることだろう。

 そんな状況でも圧巻の数字を叩き出している大谷選手は、やはり怪物。14日の試合後の米メディアの質問に“最初の頃はいろいろあって睡眠が足りていなかった日が続いていた”という話を語った大谷選手。今後も、十分な睡眠時間を確保して三冠王に向けてばく進してもらいたい。