■転売の変化と日本の免税制度の“落とし穴”
日本に頻繁に訪れ、免税制度を悪用して稼ぐ”国際転売ヤー”。日本国内での買い物方法も緻密だ。
「商業施設やデパートのショップで好んで購入する転売ヤーも少なくない。その施設が発行するポイントカードがある場合、あっという間にポイントが貯まりますし、それを商品に換えて転売すれば、また収入へとつながりますから」(前出の中国人男子学生)
弊サイトは、中央大学法科大学院(租税法)の酒井克彦教授に、日本における免税制度の問題点を聞いた。
「法律上は、免税店にも転売目的で商品を売ってはいけないという責任があります。しかし現状、日本の免税店には売り手に外国人やアルバイトも多く、チェックが十分にされていないケースも多いのが実情でしょう」
また、転売目的で免税制度を悪用する“国際転売ヤー”も戦略を立てて行動しているという。
「免税制度を利用して1人でたくさん高額商品を購入すると目立ってしまう。そういう事情もあり、転売ヤー側も人海戦術をしている。複数人を雇って同じ商品を何回かにわけて買わせるわけです。国によっては、日本へと転売を目的に渡航する”闇バイト”が横行しています」(酒井教授)
現に2022年度に日本国内で1億円以上の免税品を購入した、訪日外国人は374人。その多くは、商品を日本国内で転売していると見られている。この背景には現在の免税制度の抜け穴が影響している。
日本を訪れる訪日外国人は、会計時にパスポートさえ提示すれば、最初から免税価格で商品を購入できる仕組みだ。これは国際的には極めて珍しい制度である。
一般的に海外では、外国人観光客も1度、渡航先の国の国民と同じように店で商品売買を行ない、商品購入に必要な税金を払う。そのため、免税制度を利用したい外国人観光客は出国時に免税品を税関で申請。この審査に合格しなければ税金分が還付されない「リファンド方式」が海外では採用されている。