「転売で生計を立てている」

 そう語るのは中国人の男子学生だ。現在、日本は円安不況の真っ只中。そうした日本の状況も多分に関係しているだろう、訪日外国人の数は急増中。日本政府観光局によれば、今年4月に日本を訪れた訪日外国人旅行者数は304万2900人と3月に続いて300万人超えとなっている。そんななか、現在大きな問題となっているのが海外から日本へと訪れ、日本国内で商品を購入し、日本国内で転売する“国際転売ヤー”の存在だ。 

 全国紙社会部記者が語る。

「訪日外国人が日本国内で商品を購入する際に利用する免税制度。これが“国際転売ヤー”を助けています。外国人観光客が日本国内で買い物をする際にレジでパスポートを提示すれば、消費税にあたる10%分が免除される。転売ヤーはこの利ざや分を日本国内で転売する際、価格に上乗せ。消費税分の中から浮いたお金を懐に入れるというわけです」

 円安の影響もあり、訪日外国人観光客から買い叩かれる日本。”転売ヤー”による日本国内における爆買いの実態を東京・渋谷区にある商業施設内のアパレルショップで働く店員が話す。

「エルメスやルイ・ヴィトン、ティファニーといった高価格帯のハイブランドの限定商品が、とりわけ人気です。免税措置のため会計時にパスポートを確認した際、出入国スタンプを見れば転売ヤーかそうでないかはわかると思います。不自然なほど何度も日本と自国を往復している人は転売目的なのかなと思ってしまいます。こういう人は高価格帯の同じ商品を何個も買っていくのも特徴です」

 そもそも、免税措置に基づいて訪日外国人に消費税が課されないのは、商品が日本国内で消費されないという前提のもとに立つため。免税店側が来店客のパスポートや在留資格を確認するのは、購入者が日本に居住しておらず、転売目的ではないことを確認する必要があるからだ。しかしながら、本当に購入者が商品を日本国内で転売していないかどうかまで確認するのは非現実的でもある。

 前出の中国人男子学生が話す。

「時計やスニーカー、ブランドTシャツなどといった人気商品を買う際には、前日や朝から並んでいます。学校が休みの期間になったら、日本に来ては転売で稼いで帰国するという流れ。ブランド物の時計など高価格帯の商品を中心に転売を行なえば、多いときは月100万円ほど稼げますね。旅費程度は簡単に回収できますよ」