■グルメバーガーのルーツは――

 若者を中心に多くのファンを獲得していっているというグルメバーガー。かつて一世を風靡したご当地バーガーも、その系譜に連なるものだという。

「2000~05年頃に流行った、長崎県の佐世保バーガーですね。佐世保バーガーの特徴は“手作り”で“作り置きをしない”こと。これはグルメバーガーも同じです。

 現在のグルメバーガーは佐世保バーガーの要素にプラスして、素材にもこだわっている。消費者としても、このハンバーガーはどこのお肉を使っているんだろうと気になるわけです。百貨店で行なわれる北海道展や東北物産展のような、ふだんは食べられない現地の食べ物が売っている物産展は集客がよいと言いますよね。消費者もそうしたノリで、特別なお肉を使ったグルメバーガーに注目しているのではないでしょうか」(前出の太田氏)

 佐世保バーガーのような作り置きをしないハンバーガーが日本国内で誕生したきっかけは、1971年に銀座三越で開店したマクドナルド1号店にあるという。

「開店当社はアメリカの知らないお店が銀座にオープンしたところで流行るのか、と懐疑的な声も珍しくなかったそうです。ところが、これが大繁盛。それを見た飲食店経営者の中で、マクドナルドのような店を作りたいと考える人も出てきたといいます」(前同)

 しかし、そこに大きなハードルが立ち塞がる。

「マクドナルドはハンバーガーの本場であるアメリカの一大チェーン店。ハンバーガー文化がない日本ではマクドナルドほど効率良く商品を作れない。そこで日本ならではのハンバーガーとは何かを考えた結果、佐世保バーガーに代表されるようなご当地バーガーが生まれていったんです。大量生産・大量消費をモットーとするマクドナルドとは真逆のコンセプトとなるご当地バーガーですが、これが次第に人気になっていきました」(同)

 そんなご当地バーガーブームから始まった現在のグルメバーガー旋風。そして近年、その人気は高まるばかりなのだ。年間売上高が日本一の4000億円に達するとも言われる伊勢丹新宿本店でも5月15日から21日までの期間限定でグルメバーガー展『Iラブ(※ハートマーク)ハンバーガー in ISETAN』を開催していた。

伊勢丹新宿本店 撮影/編集部