■「青少年に見てほしい番組」リストに抱く違和感の正体

『青少年に見てもらいたい番組』リストを見たという前出の鎮目氏だが、大きな疑問を感じたという。「“青少年に見てもらいたい”と言いつつ、お年寄りが喜ぶ番組ばかりですよね」(鎮目氏)と違和感の正体を指摘する。

「クイズ番組は『東大王』や『小学5年生より賢いの?』は、タイトルこそ青少年っぽい言葉が入っているものもあるものの、クイズ番組を脳トレよろしく好んで見るのはお年寄りばかり。『題名のない音楽会』や『世界遺産』といった教養系長寿番組も多く入っていますが、昔からの視聴層がそのまま上にスライドしているので、見ているのは中高年以上。『YOUは何しに日本へ?』もお年寄りが好きな番組です」(前同)

 なお、TBSだけがリストの中に報道系番組を入れているうえ、『サンデーモーニング』と『報道特集』と2つもの番組を選定している。Xでは、特にこの2番組について《どう考えても、今の青少年の価値観にも合ってないし、時代遅れだろw》《子供に見せたいとは思わない》と疑問を呈する声が多かったが、鎮目氏も「この2番組はどう考えても最初からシニア層がメインターゲットでしょう」と言う。

「結局、子どもたちに見てほしいというよりも、子どもが見ても親からクレームから来ないものがリストアップされているように見えます。結果的に毒気がなく、ハラハラすることもない、お年寄りが好む番組が勢ぞろいしてしまったということですね。お年寄りは心臓に悪い番組は見ないので」(同)

 子どもたちが「テレビばかり見ているとバカになるよ」と大人から散々脅されたのは、80年代半ば頃のこと。当時の娯楽はテレビがメインだったうえに、“ヤンチャ”あふれる番組は魅力的で、放っておくと子どもがテレビから離れなかったため、親がなんとかして子どもをテレビから引き剥がそうと口にした言葉だ。

「子どもが面白がるものは、いつの時代もちょっとヤンチャな番組です。80年代、90年代といわゆるテレビが元気な頃、同時に番組の“俗悪さ”を強調する声もあったので、そんな番組ばかりではありませんよ、お勉強になる番組もつくってるんですよというアピールとして、民放連が始めたのが『青少年に見てもらいたい番組』という流れでしょう」(同)