■優しくポジティブな言葉に励まされる『お文具さん』と『チェゴシム』

 次々に登場する令和のゆるキャラ“『ちいかわ』のライバル”たち。苛烈を極める“ポストちいかわ”争いだが、その最右翼として前出のトレンドアナリストの太田氏が注目しているキャラクターがあるという。

「おもちのように白くて丸い謎の生物が主人公の『お文具さん』です。2019年に書籍化、20年からはYouTubeチャンネル『お文具のアニメ』でショートアニメが継続的に配信されており、チャンネル登録者数は87万人超え、総再生回数は2億6000万回を突破しています」(前出の太田氏)

 この注目の『お文具さん』の魅力はズバリ、“癒し”だとか。

「ゆるくてかわいいのは他のキャラクターも同様ですが、『お文具さん』は読者や視聴者にそっと寄り添うような優しい言葉が多く、作中の“名言”を商品化したアクリルスタンドも発売されているほどです」(前同)

 とにかく優しい世界観を作り出すことで、『ちいかわ』などと差別化できているようだ。それだけに、こちらもさまざまなコラボが生まれている。

「23年からは東京駅など各地でポップアップストアが期間限定オープン。24年の4月26日から6月23日までは、雑貨チェーンの『ヴィレッジヴァンガード』のプロデュースによる新たなポップアップも全国各地で始まっています。さらに6月5日から同30日までは、東名阪でコラボカフェも登場。目にする機会が今後どんどん増えていきそうです」(同)

北千住マルイで期間限定で開催された『お文具さん』のポップアップストア ※撮影/編集部

 さらに“黒船”も現れているよう。韓国発の『チェゴシム』というキャラクターだ。

「韓国のイラストレーター、チェゴシムさんが生み出したもので、ウルウルした目とゆるいシルエットの動物キャラがかわいい。韓国ではコスメブランドなどすでにコラボも多く、9人組ガールズグループTWICEや女性5人組のNewJeansといった、世界的に人気があるK-POPアイドルたちがグッズを手にしていたことで、日本のZ世代にも人気が広がり始めています」(同)

『チェゴシム』も“ポジティブさ”がウリなのだとか。

「SNSに投稿されるキャラクターたちのデザイン画には“できるよ!”とか“私は私が好き”といった自己肯定感の上がるようなメッセージが添えられたものばかり。また、人気商品に『お守りカード』というものがあって、カードを持っている人に対してポジティブな願いが書かれているのですが、これを携帯電話カバーなどに挟んで、まさにお守りのように持ち歩くという人が多い。24年4月に新宿で日本初のポップアップが開催された際には、この『お守りカード』はすぐに完売してしまったそう」(同)

『チェゴシム』のグッズが5月24日より下北沢店など『ヴィレッジヴァンガード』一部店舗で発売中 ※撮影/編集部

 ゆるくて可愛く、優しく励まされる……。『ちいかわ』や『おぱんちゅうさぎ』の次に来るキャラクターは、こうした寄り添い系癒しキャラなのかもしれない。

太田まき子
新潟県出身。大学卒業後、広告会社及びマーケティング会社にて女性向け商材のプロモーション、ファッションカルチャーイベントの企画運営、エンタメ系の広報PRなどを担当。現在はフリーランスのPRとして、トレンドのマーケティングやリサーチを行う。