■『Believe』に生じた3つの不幸

『Believe』の世帯視聴率はほぼ10%。テレビ離れが進むなかでは立派な数字と言えるのだろうが、現在、テレビ界がターゲットとしている若い層が見ていない。なぜ若年層を巻き込む形での盛り上がりがないのか――その理由は、「3つの不幸が重なった結果」(民放キー局関係者)という指摘もある。

「まず大きいのが、当初予定していた内容と全く別の脚本に変わったことですよね。本作は開局65周年記念作ですから、しっかりとした企画を練り上げていたはず。木村さんの主演も、23年8月の段階で内定していたといいます。脚本家も、『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日/18年1月期)など、これまで何度も木村さんの主演作を手掛けてきた井上由美子さんですから相性も良いはずですよね。

 ところが、昨年9月にジャニー喜多川氏(享年87)の加害問題を事務所が認めたことが要因で、大幅にシナリオを変更することになったといいます」(前同)

 当初『Believe』の枠では、“報道”がテーマで、木村がジャーナリスト役のドラマを想定されていた。しかし、ジャニー氏問題が盛んに報じられる中で同事務所のタレントがジャーナリストを演じるのは適当ではないと判断され、内容が大幅に変更されることになった、と一部で報じられている。

「2月初旬の段階で木村さんが脚本に納得せず、まだクランクインができていないという報道もありましたが、3月中旬にようやく本格的にクランクインし、初回放送が4月25日――主演が脚本に意見をするのは当然ですし、誰が悪いということではないのでしょうが、とにかく、時間がなかったですよね。それで、シナリオの質が落ちてしまったところはありそうです」(同)

 また、本作の制作総指揮は天海祐希(56)主演でテレ朝のヒット作『緊急取調室』シリーズ(14年1月期~)を手掛けた人物が担当している。その縁か木村の妻役に天海を起用したことを筆頭に、小日向文世(70)、田中哲司(58)といった『緊急取調室』のキャストが起用されているほか、開局65周年ということで北大路欣也(81)、上川隆也(59)、賀来千香子(62)といった重厚感のある俳優が多数キャスティングされている。しかし、

「結果として、若い視聴者には刺さりにくい重厚すぎる俳優陣が揃ってしまった感がありますよね。もちろん、みなさん演技力は素晴らしい人気俳優ですし、まだ若い竹内さんもいますが、コア層には響かないキャスティングになってしまったのではと。これが2つ目の不幸。そして3つ目の不幸というのも、この主演級俳優が揃いすぎたことで生じた問題です」(同)

※画像は『緊急取調室』の公式X『@kintori_tvasahi』より

 Xでは『Believe』のキャスティングに関して、

《何かキムタクと天海祐希の夫婦ってイマイチ違和感あるし竹内涼真が出て来ると、どっちが主演だか分からなくなる…と言いながら見てる》
《キムタクのドラマ、奥さん役は絶対天海祐希じゃなかったな…》

 など、主演クラスの俳優ばかりであることが弊害になっていることが伺える意見も目立つ。

「木村さんかお相手俳優が、明らかに一歩引いた感じで映れば違ったかもしれませんが、皆が主人公のような強い存在感になっていますよね。

 最近の木村さんの主演作で言えば『未来への10カウント』(テレビ朝日系/22年4月期)や『教場シリーズ』(フジテレビ系/2020~)のような“指導者(木村)と生徒”の構図なら必然的にバランスも取れていたかもですが、今回は主人公感が出ている人が多すぎて、バランスが悪く見えてしまうところはありそうです」(前出の民放キー関係者)

 思わぬ三重苦となってしまった感がある『Believe』。劇中ではようやく事態が好転し始めたが、現実での逆襲は、果たして――。