■新人のうちに固定電話に慣れていたほうがいいワケ
かつては職場で仕事を進めるうえで必須ツールと見られていた固定電話。自身も在籍したリクルートでは電話営業により「社会人のイロハ」を叩きこまれたという前出の常見氏は、令和の新入社員が電話を取りたがらない現状をどう見るのか。
「基本的に、固定電話は相手の時間を侵略する暴力的なメディアなので、かけるのもとるのも嫌いという人は昔から多いと思います。ただメールや社内SNSなど電話以外の連絡手段がある今では、昔のように“慣れろ”といっても慣れるほど電話を使う機会もないのが実情でしょう。
ただ、そうはいってもまだまだ音声コミュニケーションはなくならない。自分たちはSNSでやり取りをすればいいけど、急を要する連絡や、ニュアンスを伝えたいときに電話は便利です。ちょっと相手の意向をうかがいたいだけ、といった”微妙”な相談をするのにも適しています。
むしろ今のうちに電話に慣れておいてはいかがでしょうか。新人のうちの最大のメリットは失敗しても許されること。自分の武器を増やすのだと考えると、電話に対する見え方が変わります」(常見氏)
固定電話問題に直面する新社会人たち。ムダなものだと無視するか、スキルアップのツールと捉えるか――。
常見陽平
リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師。2020年より准教授。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。