■『バチェロレッテ』があぶり出す「男性の恋愛観」
働き方も多様化し、女性も男性と同じように仕事をする現代社会。女性の社会進出も進み、結婚相手として男性から“選ばれる”時代はすでに過去のこととなった。女性が男性を選ぶ『バチェロレッテ』。SNSでも毎シーズン盛り上がりを見せており、前出の太田氏が言うように“バチェロレッテの女性に憧れる”というワードも飛び交う。
女性たちはバチェロレッテの何にそこまで惹き付けられるのか。世代・トレンド評論家の牛窪恵氏に、『バチェロレッテ』があぶり出す男女の恋愛観と番組が支持を得る理由について話を聞いた。
そもそも『バチェロレッテ』となる女性は、単なる美しい女性ではない。ただ、かつては高収入、高学歴の女性は“可愛げがない”などとして男性からモテないとも言われたりしたが――牛窪氏によれば、大きいのは「男性側の変化」だという。
「男性が未来の妻に求めるものを聞く国の第三者機関の調査で、約半数の男性が“経済力”を挙げています。さらにその金額はというと、民間の調査では年収300万円以上が過半数超と最多。ほぼフルタイムで働かないと、この年収は無理でしょう。ガンガン男性が働けばよかった時代から、一人の収入だけでは家庭を支えられないという現代の経済事情を反映するような結果です」(牛窪氏)
かつては、自身が大黒柱として家族の生活を支える“男たるもの”という価値観が支配的でもあった日本社会。恋愛面でも男性が女性をリードするのが当たり前だった。それが恋愛面でも男性は草食化。草食男子なる単語も生まれ、牛窪氏が『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)を著したのは2008年のことだ。以来、価値観の変化は加速している。
「『バチェロレッテ』の参加男性たちもそうですが、いまは恋愛経験がない、収入が安定しないなど、以前だったら男性がなかなか人前で言い出しにくかったことを赤裸々に語れる時代になってきています。“男たるもの”として頑張らされることって、やっぱりすごく疲れる。男性側が女性に弱みを明かし、“等身大”の関係を求めるようになっているのは、ここ10年ほどの大きな変化だと思います」(前同)
では、女性側はどうか。
「いまの時代、女性が男性を結婚相手として見る時は、家事や育児を一緒にやってくれそうかという姿勢や、話を聞いてくれそうか、趣味は合うかといった内面的な視点も重視するようになってきています。“一緒に”生活をつくれる相手かどうかを重視する傾向があります」(同)
背景にあるのは「女性は20、30代で仕事を辞めるもの」という認識が蔓延していた時代から、結婚・出産しても働くというスタイルが社会の中で当たり前になったことで、男性と“対等”な関係を望む女性が増えたことだ。