■イチゴ狩りや地元のカフェでのランチ会、意外とカジュアルな官製婚活
長屋で家族が生活し、地域住民間で回覧板を渡し合っていた昭和の時代からは一変。日本でも核家族化が進み、地域の交流もなくなった。それに伴い、かつては、結婚適齢期の男女が独り身とあらば、生涯の伴侶を我先にとばかりに斡旋していた職場の上司や、地元の世話好きマダムも姿を消している。
「お見合いを仲介する人の代わりではないですけど、無料で適齢期同士の男女が出会えるサービスを県が提供することで、少しでも県内の婚姻率が上がればという思いがあります。サービスとしては10名〜30名単位の参加者からなるイベントを年に200回近く開催。内容は参加者同士の自己紹介を交えたイチゴ狩りや地元のカフェでのランチ会といったものになりますね。サービス利用者は登録時に、独身であることを証明する必要があります」(前出の愛媛県・丹主幹)
愛媛県では結婚を目指す独身男女へと向けて、出会いの場を提供するだけにとどまらない。
「イベント会場には50代〜60代の男女からなる人生経験豊富なボランティア推進員を配置。会場で会話が弾まない男女がいれば助け舟を出しますし、カップル成立後も交際を続ける上での相談にも乗ります。寄せられる相談は“どこにデートに行ったらよいのか?”や“喧嘩をしてしまったのだけど、どうしよう?”、“どんな服を着てデートにいったら良いですか?”といったものもあります」(前同)
現在、サービスの登録者数は5200人ほど。内訳は男女ともに半数ずつといったところだ。サービスを通じて出会い、結婚したカップルには県から独自のお祝いも用意しているという。
「結婚式には知事から祝電を出しますし、結婚お祝い品として名産品である今治タオルをお渡ししています。サービス導入後に、県内の出生率が上向いたわけではありませんが、利用者は年々増えています。今後、さらに結婚するカップルが増加し、県の盛り上がりにつながればと思います」(同)
他の都道府県に先駆けて始まった愛媛県による婚活支援サービス。行政による婚活支援が一般化するのか、今後に注目だ。