広瀬すず(24)主演の『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)は、田舎育ちで天真爛漫な女性が、音楽家になるのを夢見る青年と出会い、東京で夢や恋を紡ぐラブストーリーだ。第5話は、空豆(広瀬すず)はファッションブランドの会社に入社が決まり、夢に一歩近づく。音(King & Prince永瀬廉/24)はデビュー曲が会社の事情で使われることに違和感を抱き、自分の音楽にプライドを持つことと守ることに成功した。

■音が自分の可能性を信じる強さを持った

「この曲は勝負の曲なんです。素人に歌わせたくない」と告げた音が、とてもカッコよかった。A&Rの磯部(松本若菜/38)が名前を呼んで引き留めても、振り返らずに立ち去るなんて、これまでの音だったらしなかっただろう。好きなことを仕事にする、それはとても苦しいものだ。自分の限界や可能性を信じて続けていても、成果が出ないと自信もなくなる。それでもやり続ける強さがあれば、いつかチャンスが巡ってくるものだ。

 自分の才能を信じて音楽を作ってきたから、温泉地のCMに採用されたし、デビューのチャンスをつかんだ。それなのに、会社の事情に巻き込まれ、明らかに実力不足なのにスポンサーの娘をデビューさせる手段に使われるなんて、とても許せなかっただろう。受け入れられないことを伝え、自分のスタンスを貫いた音はこれまでとは少し違っていた。音は優しい人だから、押しに弱いところがあった。だけど、強い意志を、言葉と態度で表すことができるようになったのは、空豆の存在が大きい。

 空豆と知り合ったきっかけは、婚約破棄で自暴自棄になっているのを見過ごせなかったという、優しさからだった。だけど、人生最大の危機を乗り越える空豆のパワーに感化され、自分の音楽への思いを強めたのだ。結果的に、会社の事情を優先していた磯部の心を動かし、不本意なデビューを回避することができた。いつか近い未来に、自分の勝負曲を預けたいと思えるアーティストに出会い、成功を収めてほしい。