■人気ナンバーワンの日本食は

 和服を着て浅草寺の境内を散歩していた台湾人カップルから、仲見世で買い物する母親に連れられたアメリカ人の女子小学生、おみくじを引いたら「末小吉」が出たというフィリピン人男性まで、「おいしかった日本料理」を尋ねたら、皆、真っ先に「ラーメン!」と答えたのだ。

 インドネシアから来たという若い女性の2人組も、やはり「ラーメンがおいしかった」と言う。

 ちなみに、インドネシアは国民の9割弱がイスラム教徒の国。戒律が厳しく、正当な手続きを踏んで提供される「ハラール食」しか口にしてはならないという。彼女たちも頭にヒジャブを被るイスラム教徒だ。

「日本のラーメンはハラール食なんですか?」と尋ねたところ、「普通の店はダメだけど、東京には何件か、ハラール認証店があるんです。そこで食べました」

 値段は割高だが、戒律を破らずに、おいしいラーメンが食べられるとあれば納得できるという。かように、日本のラーメンは今や「国民食」の枠を超えて、世界中で愛されているのだ。では、外国人観光客は、どの店に行っているのだろうか。

「うまかったけど、店名は覚えてない」(オーストリア人とイギリス人のカップル)という答えも少なくなかったものの、全国展開する『一蘭』の名を挙げる人が多かった。実際、各地の店舗では、観光客で行列ができていることが多い。どのようにして人気に火がついたのか。『一蘭』の広報担当に聞いてみた。

「最初は、“ラーメンがおいしい”という評判が、口コミで広がっていき、その後、SNSブームと相まって、多くの方に知っていただけたのではないかと認識しております。中国や韓国、台湾などアジアの方をはじめ、ヨーロッパ、アメリカのお客様も近年、多くご来店いただいている印象です」

 人気の秘訣を尋ねると、「一番は味」と胸を張る。

「なんば御堂筋店(大阪)では、100%とんこつ不使用ラーメンを提供しております。さまざまな事情で豚を口にすることができない方にも、楽しんでいただきたいとの思いから開発しました」(前同)