■もち麦が新たな国民食になる2つの理由

 栄養素の高さと独特の食感が注目を集めるもち麦。2020年から23年の間に世界を襲った新型コロナウイルスにより起きた、家庭における食生活の変化ももち麦ブームには大きく関係していると、藤原さんは話す。

「コロナ禍で家庭の食卓にも変化が起きた。在宅ワークも導入され自炊率も上がりましたし、何より食事を通じて免疫力を高めようと考える人も増えました。その証拠に2026年度から、国が国民生活に欠かせないとして安定供給を目指すとする指定野菜にブロッコリーが追加されました。

 指定野菜が増えるのはおよそ半世紀ぶり。国民の間で健康志向が高まっている証拠です。この一連の流れの中で気軽に食物繊維が取れて、腸内環境を整えられる、体内環境を良くすることができる食材として注目を集めたのがもち麦ということでしょう」(前出の藤原さん)

 藤原さんは今後、もち麦は「全国民参加型の食材になる」と語る。

「調理がしやすい、炊飯器で作ることができるというのがその理由の1つです。それともち麦はパンや白米と同じで食卓の中心。いわば、主食に当たります。おかずを作るのに使われる野菜やお肉と違って主食は代わりとなる食材がない。かつ、もち麦の場合は他の主食よりも栄養が摂りやすい。この点は消費者にとって大きな魅力となるでしょう」(前同)

 コンビニや飲食チェーン店でも定番メニューに名を連ねるようになった、スーパー食材もち麦。今後、シン国民食として食卓の中心に君臨することとなるか。

藤原奈津子
秋田県出身。トレンドウォッチャー。商品広報・マーケティングの経験をいかし、キッチンツールメーカー、食品メーカーのレシピ開発・商品開発・販促企画・デザイン業務を展開。広告・TV・雑誌・イベントなどでもコメンテーターとして活躍する