6月25日の深夜、ベトナム人と思われる男性4人を乗せたプリウスが成田空港近くの駐車場の近くに音もなく現れた。男たちは駐車場で働く従業員の姿を見つけるや、車内から必死に目を凝らす。従業員が1人また1人と帰路に着くのを車内から確認。最後の1人が駐車場の出入り口付近にある事務室の光を消し、職場から立ち去ったのは日付が変わる30分ほど前のことだった。

 その姿を確認するや男4人は車から飛び出し、駐車場に停められたレクサスRXなどの高級車をわずか10分ほどの短時間で奪い去ってしまったのだ。

 被害にあったのは成田空港周辺で複数のパーキングサービスを提供し、月間5000台もの車両に駐車スペースを提供しているSUPERPARKING。弊サイトは駐車場の担当者に話を聞いた。

「レクサスRX5台とベンツ1台、BMW1台、トヨタのハリアーとヴォクシーがそれぞれ1台ずつ盗まれました。9台とも6月26日に日本へと帰国されたお客様の車です」(駐車場の担当者)

 成田空港が開港したのは1978年。それ以来、空港利用者を対象とした駐車場サービスは利用車両への盗難やいたずらなどの被害と闘ってきた。

「成田空港の中にある空港内に建てられた駐車場の利用者からは、帰国後に見たら車に10円玉などでキズがつけられていたなんて話は聞いたりもします。空港周辺にある駐車場でも、過去、そこで働くスタッフが、お客さんが駐車場へと預けていた鍵を勝手に使って車を盗んだ、なんて話を聞いたこともありますね……」(前同)

 ここ最近、成田空港利用者の車両の騒動が急激に増えたというわけではないようだ。それでも今回、有料駐車場で起きた高級車の集団窃盗は過去の騒動とは大きく異なる点があるという。

「今回犯行を行なったのはベトナム語を話す外国人窃盗団グループ。短時間で高級車を大量に有料駐車場から盗み出すという組織的な手法は、今まで聞いたことがありません」(同)

 近隣の有料駐車場では、6月10日にもプリウスやアルファードなどの有名車種が複数台盗み出されている。

「やり口は手荒でした。事務所の窓ガラスを割って鍵を奪い去るのもそうですし、その際、犯行グループは防犯カメラに顔が映ろうがお構いなし。盗まれた車両はすべて取り返しましたが、走行中に擦ったのか数台キズが付いた車両もありました」(同)

犯人は駐車場進入時に柵を破って入り込んだ  撮影/編集部