■発見したコインパーキングで気がついた72時間のタイムリミット

 成田空港近くの駐車場から盗まれた車両9台は市場価格が高い順に、犯行現場から離れた場所で発見されたという。

「一番価格が高いレクサスRX3台は、車で1時間半ほど走った先にある千葉県の野田市で6月26日の夜に回収できました。レクサスRXにはGPS機能が付いていたのにも助けられましたね。盗難を知らせた際にお客さんが怒鳴ることもなく、“GPSが付いているから”と冷静に僕らを助けてくれたお陰です。3台のレクサスを発見してからは、車内に残っていたドライブレコーダーの動画も手掛かりに他の車両の捜索を続けました」(駐車場の担当者)

 その後、4台目、5台目、6台目の車両となるベンツ、BMW、ヴォクシーは成田市内のコインパーキングで発見される。この時、盗難車両の捜索に駆り出されていた店舗のスタッフ20名ほどは、自分たちに残された車両発見までのタイムリミットが少ないことを思い知ったという。

「コインパーキングに停められていた車両の1つをまず発見できたのですが、72時間分の料金が前払いされていたんです。裏を返せば72時間以内に車両を移動させるつもりがあるということ。残りの車両も早く見つけなければ手遅れになると強く感じましたね」(前同)

 残り3台――盗難車両の捜査にあたった千葉県警の捜査官のアドバイスにも従い、駐車場スタッフは成田空港付近にある駅近のコインパーキングを目を皿のようにして探すが、当該車両は見つからない。そこで再度、野田市内で発見されたレクサスRX内にあるドライブレコーダーの動画を見てみると、ある異変に気がついたという。

「レクサスRX3台は成田空港から真っ直ぐ野田市へと向かったのではなく、車で1時間ほどの距離にある茨城県の取手市を経由していたんです。そこで、取手市周辺のコインパーキングに的をしぼり車を探したところ、取手市から車で20分ほどの場所にある茨城県守谷市内のコインパーキングで残りの車両3台を発見できました」(同)

 最後の3台を発見できたのはタイムリミットギリギリでのこと。スタッフ一同、発見時には快哉を叫んだという。

「駐車場に停めていただいていた車両を盗まれた以上、賠償責任はこちらにありますからね。しかし、お客さんの中には盗難を知らせた際に“そういうこともあるよ、頑張ってね”と声をかけて応援してくださる方もいたので何としても期待に応えたかった。最後の車を発見した際には“よっしゃー”と思いましたね」(同)

 今回、SUPERPARKINGが社名を出してまで車両の盗難被害を告白したのには理由があるという。

「1つはメディアを通じて盗難被害を話すことで、成田空港周辺にある有料駐車場の防犯意識が高まればという思いがあります。また、自分たちが声を上げることで成田は今、車両盗難に対する意識が高まっている、窃盗団が入り込むスキはないんだというのを印象付けられればと思っています」(同)

 外国人窃盗団のターゲットにされようとしている感がある成田空港周辺の有料駐車場。徹底した管理と警察との連携で預けられる車を守り続けてほしい。